与野党とも「中間層復活」を経済政策の目標に据え、分配政策を重視して所得向上を訴えるが、具体策は見えない。

 暮らしを守るための経済政策は喫緊の課題だ。景気のいい掛け声だけでなく、実現の道筋を分かりやすく示してほしい。

 ウイルス禍の影響を受け、個人消費や設備投資といった内需は低迷し、賃金は上がらない。

 本県を含む地方経済の厳しさも変わらず、実効性ある経済再生ビジョンを求める声が上がる。

 岸田文雄首相は衆院解散の理由に「経済対策の早期実現」を挙げた。成長と分配の好循環による「新しい資本主義」を実現するとし、数十兆円規模の経済対策も打ち出した。

 分配戦略として、働く人に成長の果実が行き渡る環境を整備するとした。そのためにあらゆる政策を総動員するという。

 しかし、具体策は今後、「新しい資本主義実現会議」などで検討することになる。

 首相は総裁選で打ち出した金融所得の課税強化を封印し、「ぶれ」も指摘される。国民を納得させる具体的施策を示せるかが問われる。

 「成長なくして分配できるとは思えない」とする首相に対し、立憲民主党の枝野幸男代表は「分配なくして成長なし」を強調。「1億総中流社会」復活へ国民の可処分所得を増やす政策を主張する。

 具体策として立民は、共産党、社民党とともに大企業と富裕層に応分負担を求めるなどの税制改革を掲げ、最低賃金の時給1500円への引き上げでも共通する。

 公明党はマイナンバーカードの新規取得者や保有者への数万円分の新たなマイナポイント付与などを訴える。

 日本維新の会は生活に必要な最低限の金額を給付するベーシックインカムの本格検討、国民民主党は10年間150兆円規模の積極財政への転換をうたう。

 ただ、これらの政策が次世代につけを回すことになっては困る。裏付けとなる財源に関して責任をもって説明してほしい。有権者もそこを注視したい。

 安倍政権は経済政策として「アベノミクス」を掲げ、「景気回復の温かい風を全国津々浦々に届ける」と強調した。菅政権もアベノミクスを引き継いだ。

 しかし、地方に温かい風が届いたとは言い難い。

 円安、株高で大企業や富裕層は潤ったが、中小企業の多い本県では「恩恵があったのは一部のみ。景気回復の実感はない」と厳しい声が上がる。

 新型コロナウイルスの影響について、県商工会議所連合会が6、7月に行ったアンケート調査では、企業活動に「マイナスの影響が出ている」との回答が全体の8割弱を占めた。

 地方の苦境を打開するのはどのような政策か。各党の主張を丁寧に見極めたい。