コメ余りに伴う米価下落で、本県などコメ主産地が苦境に陥っている。県内は作柄も良くなかった。与野党は現場の切実な声に耳を傾け、農家が希望を持って農業を続けられる政策を打ち出してほしい。

 米価下落は、家庭の「コメ離れ」に加え、新型コロナウイルス禍で外食用の需要が減ったことが大きな要因だ。

 本県ではJA全農県本部が示した農家に対し支払われる仮渡し金は一般コシヒカリで60キロ当たり昨年より1800円も下がった。

 国は本年度、過去最大級の約3400億円もの補助金で主食用米から飼料用米などへの作付け転換を促し、自治体も独自の支援策を加えたが、米価維持にはつながらなかった。

 米価について農家には「稲作を続けるに値しない額」との声もある。

 人口減少などによりコメの需要は今後も減ると予想される。離農が加速し、地域の衰退につながる恐れがある。

 衆院選で与野党は米価維持に向けて政策を競っている。

 自民党は、JAグループなど集荷業者のコメの保管経費を補助する事業で15万トンの「特別枠」を設けることを公約に盛り込んだ。市場に出回る量を減らし、値下がりを防ぐ狙いがある。

 公明党は、コメ農家に飼料用米や麦などへの作付け転換を促す交付金で「予算の恒久的確保を目指す」と強調する。

 野党の立憲民主党は、旧民主党政権が実施した「戸別所得補償制度」を復活させると主張する。生産コストで生じた赤字を交付金で穴埋めする仕組みだ。コメの生産調整(減反)を政府主導に戻すことも公約にした。

 社民党も戸別所得補償の復活を掲げ、共産党は政府によるコメの緊急買い入れを訴える。

 日本維新の会は減反の廃止徹底とコメの輸出推進を主張。国民民主党は国の責任で需給調整を行うとしている。

 注目したいのは、財源も含め農業の持続可能性に資するかどうかだ。

 選挙ではこれまでの政権が進めた農政の是非も問われる。安倍政権は、農業の規制緩和を加速させた。国による減反を廃止したのはその象徴だ。

 そうした中で、2020年度の食料自給率はカロリーベースで37%と過去最低水準となった。30年度に45%に上げるとする政府目標は一段と遠のいた。

 中山間地を中心に担い手の高齢化と減少に歯止めがかからず、集落の維持が困難になっている地域も増えている。

 世界的には人口増や温暖化による自然災害で食料不足が懸念されている。最近は輸入に頼る小麦の価格が上昇している。

 各党は聞こえのよい政策やその場しのぎの対策ではなく、国民の食料を安定的に確保できる足腰の強い農業を育てるため、骨太な論戦を展開してほしい。