原油や天然ガス、石炭など資源価格の高騰が止まらない。1月に1バレル=50ドル台だったニューヨーク原油先物価格は今月80ドル台を付け、高止まりしている。

 新型コロナウイルス禍からの経済回復への期待に冷や水を浴びせられた形だ。

 資源価格高騰の原因はワクチン接種が進んだ各国の経済活動再開に伴い、エネルギー需要が世界的に高まっているためだ。

 さらに、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の産油国でつくるOPECプラスが協調減産の継続を決め、需給が逼迫(ひっぱく)している。

 供給国は脱炭素化の流れを受けて、増産に慎重な姿勢を崩していない。

 政府は来月上旬に開催予定のOPECプラスの会合までに増産を求めるとする。粘り強く外交努力を続けてもらいたい。

 国内ではガソリン、灯油の価格上昇が止まらず、電気やガス料金も値上がりし、暮らしを圧迫している。

 25日時点のレギュラーガソリン1リットル当たりの全国平均小売価格は167円30銭(本県165円60銭)、灯油は18リットル当たり1910円(同1922円)で、いずれも約7年ぶりの高値だ。

 県石油商業組合は、ウイルス禍と原油高のダブルパンチはガソリンスタンドの経営を揺るがす、と危機感を訴える。

 燃料費の高騰を受け、県トラック協会も経済への影響は大きいとして、国のバックアップを求める。国は苦境に立つ業界支援に向け、目配りを欠かさないでもらいたい。

 気掛かりなのは、円安の進行が原油など資源輸入価格の上昇を招いていることだ。

 景気回復で物価が上昇し、金利も上がる米ドルとは対照的に、金融緩和で低金利の続く日本円は運用が不利だとして売られている。

 専門家の試算によれば、原油先物価格が1バレル=80ドル程度で推移した場合、家計負担は2021年度後半からの1年間で2万8千円程度も増える。90ドル程度なら3万3千円増にもなる。

 80ドル台では、国内から海外への所得流出が21年度に4兆8千億円生じることになり、消費税率を1・7%引き上げるのと同程度の負担増になるという。

 原油高騰に伴うガソリン、電気代などの値上がりが全国消費者物価指数の上昇につながっていることも懸念材料だ。

 9月の指数は前年同月比0・1%増で、1年半ぶりに上昇に転じた。日本の物価上昇率は欧米に比べて低いが、好景気や賃金上昇以外の要因に基づく「悪い物価上昇」が続きかねない。

 12月ごろには、日本の物価上昇率が1%程度まで高まる予測もある。今秋は食品の値上がりが相次いでおり、物価上昇の実感につながりやすい。

 消費が冷え込み、ようやく生まれてきた景気の回復期待がしぼんでは困る。

 国は資源の安定供給と国民の生活を守るために努力を惜しまないでほしい。私たちも生活防衛に知恵を絞りたい。