デジタルの時代なのだという。働き方やサービスの提供を効率化し、地方でも都会と変わらない暮らしが実現する-。デジタル庁を設置した国はこう言って推進の旗を振る

▼デジタルの世界では、情報を「0」と「1」の数字に置き換えてやり取りする。白か黒か、○か×か。二者択一で、あいまいな部分がないから、伝達は正確でスピーディーだ

▼衆院選が採用する小選挙区制も二者択一の構図になりやすい。当選するのは1人だけだから、1人の強い候補者に対して対抗馬が乱立していては当選はおぼつかない。そのため2大政党の争いとなり、政権交代が起こりやすいシステムだと説明されてきた

▼実際、今回の衆院選では巨大与党に対抗するため、多くの選挙区で野党が候補者を一本化した。本県では3人が争った選挙区も目立ったが、全国的には二者択一の構図が多かった。「あの人か、それともこの人か」。0か1かのデジタルのような選挙戦だった

▼二者択一なら落選候補に投じた票は「死に票」になり得る。比例代表並立制だから単純ではないにせよ、白か黒かに限られてグレーの部分がなければ、民意をきめ細かくすくい取るのは難しい。小選挙区制の導入から四半世紀になるが、今も戸惑う有権者は少なくないはずだ

▼前回大勝した自民党は議席を減らしたものの、連立与党としては一定の数を確保した。野党第1党である立憲民主党は、政権獲得が遠かった。新たな選良は民意を国政にしっかり反映させられるだろうか。