県内第3の都市・上越市の新しいリーダーに、46歳の中川幹太氏が選ばれた。人口減少が進み、閉塞(へいそく)感が漂う地域に、活力を取り戻すことを期待したい。

 衆院選と同日に投開票された上越市長選で、前副市長との一騎打ちを制した。

 高田と直江津の両市が合併し今年が50周年となった上越市。その節目で、史上最も若い市長が誕生した。有権者の中には、「若い力」に期待した部分が大きかったのではないか。

 中川氏の経歴はユニークだ。関西出身で、東京都内で働いていたが、2001年に上越市の山間地・桑取地区に移住した。そこで豊かな自然や文化に魅了され、両親まで呼び寄せた。

 市外から来たからこそ、上越市の魅力をより強く感じるのだろう。公約では、雪国の文化を象徴する雁木(がんぎ)や町家、戦国武将上杉謙信の居城・春日山城跡などを生かした「通年観光」の振興を挙げた。

 こうした歴史遺産は、全国に誇れるものだ。実現に向け、ぜひ力を発揮してもらいたい。

 中川氏は移住者の成功例を体現する存在といえるが、一方で厳しい現実もある。市の人口は少子高齢化の進行などで急速に減少している。

 上越市が13町村と合併し、今の姿となった05年に約20万8千人だった人口は、現在約18万7500人。近年は毎年2千人前後減っている。特に合併地域で減少傾向が顕著だ。

 中川氏は周辺地域活性化のため市役所本庁舎の権限の「一極集中」から旧町村ごとに設置されている総合事務所への「地方分権」を進めると主張する。

 具体策として「地域独自の予算」を市長に提案する制度を新設するとしている。

 ただ、そうした政策を中心に据えるだけで周辺地域の活性化を図ることは難しいだろう。

 市の財政は村山秀幸市長が取り組んできた行財政改革の成果もあり、貯金に当たる財政調整基金の残高が100億円を超えている。だが、決して楽観できる状況ではない。

 市内各地にある公共施設の老朽化や第三セクター施設の経営悪化が懸念されている。こうした施設の維持管理費に加え、合併地域に独自財源を設けるには幅広い議論と合意が必要だ。

 野党系議員らと連携しつつも政党や団体に頼らない草の根の選挙運動を展開した中川氏は、特定の業界や既得権益とのしがらみを持たない立場で市政改革に臨むとしている。

 選挙戦では、元市長の宮越馨市議の支援を受けた。宮越氏は市長時代、地方自治体として先進的な取り組みをして注目されたが、時に強引にも映る手法が批判されたこともあった。

 中川氏は、経験豊富な宮越氏と連携していく意向を示している。改革を急ぐあまり、独善に陥るようではかえって市政が停滞することになりかねない。

 3期12年続いた村山市政の検証を十分に踏まえた上で、選挙で約束したことを着実に実行に移してほしい。