クマへの注意を呼び掛ける看板。昨秋に比べて目撃・痕跡件数は大きく減っているが油断は禁物だ=3日、上越市
クマへの注意を呼び掛ける看板。昨秋に比べて目撃・痕跡件数は大きく減っているが油断は禁物だ=3日、上越市

 9~10月に新潟県内で確認されたクマの目撃・痕跡件数が、昨年同期を大幅に下回った。例年なら冬眠前に餌を求めて活発に動き回る時期だが、この秋は様子が一変。専門家は山の中に餌の木の実が一定程度あることが一因とみている。ただ、人を恐れない「新世代クマ」が市街地の近くに潜んでいる恐れもあるとして、油断しないよう呼び掛ける。新潟県も住民の警戒の「緩み」を心配している。

 新潟県によると、クマの出没は例年10~11月ごろにピークを迎える。新潟県の調査では、今年のブナの実は凶作か不作になると予測。餌を求めて人里に出没するクマが増える恐れがあるとして、注意を呼び掛けていた。

 しかし、クマの目撃・痕跡情報は、9月が前年同月比83%(233件)減の48件、10月は95%(760件)減の44件だった=グラフ参照=。

 人身被害も、本年度は5月に妙高市で発生した1件にとどまり、この秋の報告はない。10月末までに12件だった昨年度とは対照的な傾向を示している。

 長岡技術科学大の山本麻希准教授は「昨年や一昨年に比べ、今年の山にはクマの餌がある程度実っているため、人里まで下りる必要がない」と説明する。

 しかし、油断は禁物だ。人里に餌となる果樹や生ゴミなどがあることを覚えている新世代クマは、木の実の出来に関係なく人の生活圏の周辺に生息している。

 そうした個体は人間に遭遇しても、恐れない可能性があることから、引き続き厳重な警戒が必要という。山本氏は「いつ遭遇してもおかしくない。常に注意が必要だ」と訴える。

 新潟県は、目撃数の減少で県民の危機意識が薄れ、対策がおざなりになることを警戒している。

 近年は冬眠期でも活動するクマの存在も指摘されている。県鳥獣被害対策支援センターの神部淳所長は「雪が積もる12月までは、十分注意してほしい」と強調。襲われた場合は致命傷を避けるため、地面に伏せ、手で頭や首を守るなどの対応を取るよう呼び掛けている。