須貝章弘助教

 新潟大学脳研究所(新潟市中央区)の研究グループは6日までに、全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」が、加齢によって発症リスクが高まるメカニズムを一部解明したと発表した。タンパク質の設計図であるDNAに、加齢に伴って起きる変化が発症に関連することを突き止めた。

 ALSは、運動神経が障害を受けて筋肉が徐々に痩せていく病気で、中年期以降に発症する。歩行や食事、発音などは困難になるが、通常は視力や知力などは保たれる。県の統計によると、県内の患者数は約220人。

 脳内で体を動かすための指令を出す運動野の細胞に「TDP-43」というタンパク質がたまることで発症するとされているが、なぜある程度の年を取ってから運動野の細胞にだけ、このような現象が起きるのかが分かっていなかった。

 そこで研究グループは、DNAの加齢による変化に着目した。

 複数の健常者の運動野の細胞で、TDP-43の量の調節に関わるDNA領域を調べると、年齢が高いほど「脱メチル化」が進んでいた。さらに実験的に同じDNA領域を脱メチル化させると、細胞内のTDP-43の遺伝子発現が増えた。

 そこで、ALS患者のDNAを調べると、同じDNA領域の脱メチル化が進んでいるほど、病気を発症した年齢が若いことが分かった。

 今回の研究を行った脳研究所の須貝章弘助教は、「TDP-43の量の調節機構やDNA領域のメチル化状態を操作する、というALSの新しい治療法を開発できる可能性が出てきた」と話している。研究成果は国際的な学術出版企業の科学雑誌「コミュニケーションズ・バイオロジー」に掲載された。

 ALS研究では9月、京都大が患者のiPS細胞を使って、慢性骨髄性白血病の治療薬にALSの進行を遅らせる可能性があることを見いだすなど、新しい治療法の開発が進んでいる。遺伝性ALSに期待できる治療薬の治験も進んでいる。

<筋萎縮性側索硬化症(ALS)>運動神経が障害を受け、体を動かすのに必要な筋肉が徐々に痩せて力がなくなっていく病気。歩行や食事、発音などは困難になるが、通常は視力や知力などは保たれる。詳しい原因や根本的な治療法は確立されていない。県の統計によると県内の患者数は約220人。