新潟地方裁判所
新潟地方裁判所

 「子どもたちを守り、教え導く立場なのに、逆のことをしてしまいました」

 10月初頭、新潟地裁の被告人席で、白い半袖シャツを着た男(59)は、絞り出すように言葉を発した。

 児童買春・ポルノ禁止法違反罪に問われ刑事被告人となったその男は、30年以上にわたり教壇に立ってきた小学校の教師だった。

 昨年夏、当時17歳の女子高校生に新潟県内のホテルでわいせつな行為をした上、その様子を動画撮影したとして、今年6月に逮捕されていた。

 少女とは会員制交流サイト(SNS)で知り合い、見返りに50万円を支払うと告げていた。

 検察側は冒頭陳述などで、男が少なくとも15年ほど前から援助交際に手を染めていたと指摘した。SNSを通じて複数の女性と関係を持ち、3、4年前からは、後で金銭を支払うとうその約束をしてわいせつ行為に及び、金を払わぬまま逃げる手口を繰り返してきたとした。

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 男は公判で、犯行を踏みとどまれなかった理由について問われると、「自分に対する甘さがあった。これくらいならいいのではないか、と思ってしまった」と語った。少女が18歳未満だと認識しながら、連絡を取り合ううちに恋愛感情が湧いたとも釈明した。

 少女と会う前に、学生証の写真を送らせていたことも公判で明らかになった。「本当に会う気があるか確かめたかった。お互い秘密を守って会おうねと、ばれたら捕まることをしているんだから、覚悟して会おうねと伝えた」

 そして「ばれたらどうしようという恐ろしさは常にあった。どきどきしていた」とも振り返った。

 ただそんな言葉と、長年にわたったとされる類似の行為や金を払うとうそを言ってそのまま逃げる大胆な手口とは、埋めようもないギャップがあった。

 男は今春から、勤務校でクラス担任をしていたが、逮捕される前から休みを取っており、ほとんど教壇に立つことはなかった。

 「ずっとこの仕事を続け、何百人もの子どもたちを指導してきた。担任だった人がこんなことをして、(子どもたちは)裏切られたと思っているだろう」と後悔を語ったが、口ぶりは終始淡々としていた。

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 論告求刑公判で、検察側は、犯行の常習性を指摘しながら「再犯に及ぶ可能性は否定できない」として、懲役1年を求刑した。弁護側は、性依存に対する治療の必要性を訴え、その効果が見込まれるなどとして執行猶予を求めた。

 10月下旬の判決公判。男はそれまでのシャツ姿ではなく、パーカをかぶったラフないでたちで出廷した。判決は懲役1年、執行猶予3年。裁判官から言い渡されると、被告は大きくうなずいた。その後、被告も検察側も控訴はせず、11月に入って判決が確定した。

 定年退職を目前に懲戒免職となった男は、退職金を棒に振った。30年以上も携わった教育者としての威信も失った。公判では今後についてこう語った。

 「もう援助交際はしない。妻のことは絶対に裏切らない。やれる仕事を見つけて、一生懸命生きていきたい」