コシヒカリと並ぶ本県のブランド米「新之助」の2021年産米の1等米比率が、80%台後半になる見通しだ。

 これまで90%を下回ることはなかっただけに、肩を落としている生産者もいるに違いない。

 高い品質でブランドを維持していくためには原因の徹底検証が欠かせない。そこで得た教訓を今後に生かしたい。

 1等米比率の低下は、県が検査機関に10月末時点の状況を聞き取った結果、判明した。

 収穫を控えた9月下旬の気候が高温で乾燥していた影響で、コメの内部に亀裂が生じる「胴割れ」が多く発生したことが原因とみられる。下越地区では50%台まで下がったJAもある。

 新之助は、気候変動による高温対策として県が開発し、17年に本格デビューした。

 異常気象の影響でコシヒカリの1等米比率が大きく落ち込んだことが過去にあったのに対し、晩生(おくて)で高温に強い新之助は90%以上を維持していた。

 それだけに今回の事態を重く受け止めねばならない。

 県は「同じ地域でも生産者によって状況が異なる。肥料、水管理などがどう影響したのか調査していく」としている。

 個々の栽培状況はどうだったのか。県や農業団体など関係機関からのきめ細かな情報提供は足りていたのか。

 さまざまな観点から調査し、原因を洗い出す必要がある。それを踏まえて適切な栽培に力を尽くしてもらいたい。

 県は新之助をブランド米と位置付け、厳しい栽培基準や食味・品質基準を設けている。新之助として販売できるのは、1等米だけで、2等以下は加工用米などで4割ほど安く売られる。

 現在約1500人の農家が基準に従って栽培している。

 だが、一部生産者や流通関係者からは、2等米も食味に変わりはないとして、新之助を名乗れるよう望む声が出ている。

 これに対し県は、高い品質を維持する観点から基準を緩和する考えは現時点ではないとのスタンスだ。「多くの生産者は理解している」とも説明する。

 20年産の新之助は、販売価格の低下と新型コロナウイルス流行に伴う巣ごもり需要で、売れ行きが好調だった。

 21年産でJA全農県本部が示した仮渡し金は、コメ余りで一般コシヒカリが大幅減だったのに対し新之助は据え置かれた。

 ブランド力の低下を招かないためにも基準緩和については慎重に見極めていくべきだ。農家のダメージにつながる事態は避けねばならない。

 気掛かりなのは、22年産以降の作付けの動向だ。

 県は新之助の販売強化を図り、作付面積も年々増えてきた。21年産は前年より約400ヘクタール増の約3400ヘクタールだった。

 今回の1等米比率の減少を受け、22年産はリスクを避けて作付けを減らす生産者も出てくるのではないかとの見方もある。

 農家が安心して栽培できるよう、早急に原因を究明し、情報を共有したい。