朝、低空飛行するハクチョウたちが頭上を通り過ぎていった。餌場に向かっているようだ。「クォー」とか「クワックワッ」といった声で鳴き交わしている。仲間同士、何かを伝え合っているのか

▼言葉を発するのは人間だけだと、かつては考えられていた。確かに文字を使うのは人間だけかもしれないが、動物は鳴き声やしぐさ、においなどを介して多くの情報をやり取りしていることが分かってきた。それも言葉と言っていいのではないか。人間とはやり方が違うだけだ

▼オオハクチョウは飛び立とうとする際に首を振って合図する。群れの中でこの動きがある程度盛り上がると、一群は動きだすのだという(ナショナルジオグラフィック別冊「動物の言葉」)

▼リーダーがすべて決めるのではなく、コミュニティーのメンバーの中で一定の合意が得られて初めて行動を起こすということか。かなり民主的なやり方に思える。越冬のためシベリアからやって来る彼らは、そんなふうに意思疎通を図っているらしい

▼公園などで見かける小鳥シジュウカラは相当に高度なコミュニケーションをしているという。それぞれ意味を持つ「単語」のような鳴き声があり、これを組み合わせた「文法」さえ存在するという研究もある

▼先の総選挙を受けた特別国会がきのう召集され、新たな構成の衆院が動きだした。政治は言葉によってつくられる。どんな言葉で国民に語りかけ、どう納得と理解を得ていくか。お粗末な言葉では動物たちに笑われる。