岸田政権発足から1カ月余りを経て内閣がようやく本格始動する。まずは最重要課題である新型コロナウイルス対応や格差是正を含む経済対策に全力を挙げ、結果を出してもらいたい。

 衆院選を受けた特別国会が10日召集され、岸田文雄首相=自民党総裁=が第101代首相に選出された。

 これに伴い、第2次岸田内閣が発足した。外相には新たに林芳正元文部科学相を起用、その他の閣僚はいずれも第1次内閣から再任となった。

 現状では感染拡大は収まりつつある。暮らしは落ち着き、飲食店の客も戻り始めるなど経済活動の再開も進んでいる。この状態を持続させることが政権の当面の責務となる。

 政府の新型ウイルス感染症対策分科会は、緊急事態宣言の発令や対策を強化する際の目安となる新指標を策定した。

 新規感染者数を重視する従来の指標と異なり、主に病床の逼迫(ひっぱく)度合いなど各地の実情に応じて5段階で状況を判断する。判断は都道府県が行う。

 病床数の予測ツールなどを活用し、先手を打って宣言など強い対策を講じられるようにしたのが特徴だ。新指標は、政府が近くまとめるウイルス対策の「全体像」に盛り込まれる。

 見直しの背景には、重症化を抑えるワクチン接種の拡大や治療薬開発の進展があるという。

 社会経済活動を回しながら適切に対応するための措置だろうが、不可欠なのは実効性だ。検証を怠らないでほしい。

 判断を自治体任せとしていることも気に掛かる。流行「第6波」の懸念は消えていない。国は丸投げせず、責任を持って対応してもらいたい。

 政府は、新しい資本主義実現会議の緊急提言などを基に19日にも経済対策を策定する。提言に既存政策の焼き直しとの厳しい見方もある中、首相が唱える「成長と分配の好循環」につなげられるかが問われる。

 経済対策に関連し、18歳以下の子どもへの10万円相当の給付を巡り、年収960万円の所得制限を導入する方針について自民、公明両党が合意した。

 これとは別に、生活に困窮している住民税非課税世帯に現金10万円を給付する。

 ウイルス禍で職を失い、生活に窮する人もいる。現金などの直接的な給付が望まれる部分はあるだろう。一方で本当に必要なところに支援するためにも所得制限を設けることは妥当だ。

 ウイルス禍の中、政府が昨年の経済対策で支給した国民1人当たり一律10万円の特別定額給付金は多くが貯蓄に回ったとの指摘がある。

 衆院選のお礼、来年夏の参院選にらみの「ばらまき」では困る。政権はきちんと効果を見極め、格差是正のための恒久策も含めて対策を打つべきだ。

 首相は第2次内閣発足を受けた記者会見でも国民の「信頼と共感」を得て政治を進めると訴えた。ただ指導力は未知数だ。今後の政権運営を通し、その適格性も見極める必要がある。