全ての拉致被害者救出への決意を語る横田哲也さん=14日、新潟市中央区
全ての拉致被害者救出への決意を語る横田哲也さん=14日、新潟市中央区

 悲しみ、怒り、焦り、決意-。14日に新潟市中央区で開かれた「忘れるな拉致 県民集会」(新潟日報社、県、新潟市主催)での被害者家族の訴えには、さまざまな感情がにじんだ。1977年11月、新潟市で横田めぐみさん=失踪当時(13)=が拉致されてから15日で44年。進展が見えず、歯がゆい時間が続くが「救出」の意志が揺らぐことはない。北朝鮮による拉致問題は、誰の身にも起こり得たかもしれない今も続く人権問題でもある。「全ての被害者を必ず取り戻す」。会場が思いを一つにした。

 「まだ何も見えてこない不思議な事件がこの拉致問題。もしも皆さまのお子さまがそのような目に遭われたら、同じような思いでこうやって話をなさると思う」。母早紀江さん(85)は映像メッセージで、事態の根深さを伝えた。「それが誰であっても、日本人がそういう目に遭っていることは許されない」と穏やかな口調の中に、国家犯罪への強い憤りをあらわにした。

 めぐみさんの弟哲也さん(53)は集会前に拉致現場を訪れた。「姉があの時間、あの場所にいなければと思うが、誰が拉致されていても不幸。そうならないために、なぜ予防線を張れなかったのか、なぜ警察が能力を発揮できなかったのか残念でならない」と指摘。岸田文雄首相は安倍、菅両政権に続き拉致問題を「最重要課題」としているが、哲也さんは「政治は結果。さらなる行動を」と求め、「母が生きているうちに会わせてあげたい」と願った。

 佐渡市の拉致被害者、曽我ひとみさん(62)は1978年に一緒に拉致され、今も行方が分かっていない母ミヨシさん=同(46)=から贈られた腕時計を着けて登壇した。「拉致されてから43年間、一度も会えないなんて皆さん考えたことがありますか。これ以上待つことはできない。本当に時間がない」と悲痛な声を上げた。

 拉致の可能性を排除できない特定失踪者の家族も切実な思いを訴えた。

 新潟市西蒲区出身の大沢孝司さん=同(27)=の兄昭一さん(85)

は「政府は(北朝鮮による拉致の)認定、未認定に関わらず全ての被害者が帰るまで拉致問題は終わらないと言っている。私もこれを信じて待つ」と強調した。

 長岡市の中村三奈子さん=同(18)=の母クニさん(78)は三奈子さんに宛てたブログを書き留めていると話し、「いつか帰って来た時にまとめて読んでほしい」と切ない親心を打ち明けた。