予測を超える大幅な落ち込みは、ウイルス禍からの立ち直りにはまだ遠いことを裏付けた。

 景気を回復軌道に乗せるには、消費活動を後押しする経済対策や流行「第6波」防止を徹底しなければならない。

 今年7~9月期の国内総生産(GDP、季節調整値)速報値は、物価変動を除く実質で前期比0・8%減、このペースが1年間続くと仮定した年率換算は3・0%減となった。

 マイナス成長は1~3月期以来、2四半期ぶりだ。夏場の東京五輪・パラリンピックも追い風にならなかった。

 個人消費、設備投資、輸出といったGDPを構成する主要項目が軒並み落ち込み、回復への足取りはまだおぼつかない。

 GDPの半分程度を占める個人消費は、ウイルス禍を受けた緊急事態宣言で外食、旅行が手控えられたこともあり、前期比1・1%減となった。

 自動車は半導体不足や東南アジアの感染拡大に伴う部品の供給難で生産が滞り、販売が減ったほか、パソコンや家電を含めた耐久財も減少した。

 気掛かりなのは、原油高や食料品値上がりなど暮らしを取り巻く不安材料だ。

 これ以上消費が冷え込まないよう国は目配りを怠らないでほしい。実効性のある政策による生活の下支えが欠かせない。

 注目したいのは、財政支出が40兆円超と見込まれ、政府が19日に策定する経済対策だ。

 所得制限はあるものの18歳以下の子どもと、困窮世帯に対する給付金のほか、売り上げの減った事業者に最大250万円を支給する制度などが盛り込まれる見込みだ。

 「ばらまき」に陥らず、きちんと効果を見極めながら個人消費を好転させ、経済正常化につなげてもらいたい。

 「成長と分配の好循環」をうたう岸田文雄首相にとっても、結果を出せるかどうか指導力が問われる。

 緊急事態宣言解除と経済活動の制限緩和で、専門家の間では10~12月期のGDPは持ち直すとの見方は多い。

 ただ、「第6波」への懸念は消えていない。ウイルスの感染拡大を繰り返し、緊急事態宣言を重ねるようでは、経済活動は停滞から脱せずGDPの回復は望めない。

 政府は来月から始めるワクチンの3回目接種について、2回の接種を完了した18歳以上を対象とする方針を決めた。

 だが、おおむね8カ月以上としていた接種間隔を6カ月でも可能と方針転換したため、現場を担う自治体は「前倒しする自治体が出てくると、8カ月では遅いと言われかねない」(魚沼市)と不安を隠せない。

 前倒しの判断は自治体側に任せており、接種券の発送を含め体制づくりに懸念が残る。

 混乱を招かないよう国と自治体が緊密に連携し、「第6波」を防いでもらいたい。

 感染拡大防止が成長の土台となる。そのことを改めて肝に銘じたい。