レリエンスメディケアが手掛ける人工乳房のサンプル

 乳房を切除した乳がん患者が、自宅で非対面のまま装着式人工乳房を購入できる環境が整った。販売を手掛けるレリエンスメディケア(新潟市東区)が、ウイルス禍で来店できない患者が増えたため、高性能の色彩分析ソフトを導入。患者がサンプルを装着して撮影した写真を基に、肌の色に合わせて着色する。同社によると、人工乳房の非対面販売を本格的に行うのは全国でも珍しいという。

 同社は皮膚の上に着けるシリコーン製の人工乳房を販売している。色や形、サイズが決まっている既製品のほか、肌の色を自分に合わせる「セミオーダー」、肌の色と形全てを特注する「フルオーダー」の3タイプがある。

 これまで、既製品以外は対面での調整が必要だったが、最も需要があるセミオーダーについて、今春、インターネットでの販売を始めた。非対面を希望する人には、着色していない人工乳房のサンプルを配送。サンプルを装着して写真を撮ってもらい、切除していない方の乳房を基に、患者個人の肌の色を再現する=図参照=。注文から1カ月半ほどで完成品を届けている。

 非対面販売を始めた契機は、ウイルス禍だった。同社の人工乳房を購入するのは主に50~70代で、7、8割が関東や関西など県外の患者。2014年4月に販売を始めて以降、患者はJR新潟駅前のサロンに来店し、購入前に色の調整や試着をしていた。

 従来は月10件ほどの注文があったが、新型コロナウイルスの感染が拡大し、乳がん患者だった俳優の岡江久美子さんが昨年4月にウイルス感染で亡くなった後に来店者が激減。感染を恐れ、来店をためらう声が多数寄せられた。20年7月~21年6月の売上高が前年同期の3分の1になり、同社の経営にも影響が出た。

 このため、同社は20年12月、自社サイトで既製品の販売を始めた。さらに、以前から準備を進めていた高性能の色彩分析ソフトを本格的に導入。スマートフォンのカメラで撮影した画像で、肌の色を忠実に再現できるようになり、セミオーダーの商品もインターネットで販売できるようになった。21年10月末現在、非対面で9人に販売した。

 レリエンスメディケアによると、現在人工乳房を販売する企業は、同社を入れて全国に7社ある。対面販売が基本で、非対面販売を本格的に進めるのは珍しいという。小林勝広社長(53)は「ウイルス禍に関係なく、高齢の患者が遠方から来店するのは大変だった。自分の胸を他人に見せることに抵抗がある人もいる。非対面販売によって、患者さんのニーズにより細かく応えられる」と話している。

 価格は既製品で税込み16万~18万円、セミオーダーで同30万円前後。問い合わせは同社、025(278)9123。