運転士が操縦機器に触れずに走行した新幹線の自動運転試験=17日、新潟市
運転士が操縦機器に触れずに走行した新幹線の自動運転試験=17日、新潟市
JR新潟駅で行われた新幹線の自動運転試験。駅のホームでは停車位置のずれが許容範囲かを確認した=17日、新潟市中央区

 JR東日本は17日、新潟市で新幹線を使った自動運転の試験を報道陣に公開した。新幹線の営業用車両での試験は全国で初めて。緊急時に備えて運転士が乗車したが、機器に触れなかった。同社は人為的ミスの防止や運転士不足の解消を狙い、将来的に無人運転の導入を目指している。

 上越新幹線や北陸新幹線で使われているE7系(12両編成)に自動列車運転装置(ATO)を備え付けて実施。運行を終えた新幹線が新潟駅と新潟新幹線車両センター間の約5キロを無人で回送する想定で、10月下旬から計11回実施した。

 この日は、同社社員ら約20人が新幹線に乗り込み、同区間を3往復した。乗務員が仮設の指令所に自動運転に切り替えることを連絡すると、遠隔操作で新幹線が出発。走行中、運転士は両手を膝に置いたままで操縦機器には触れなかった。

 車両は同区間の勾配や曲線などを考慮して作成された運転パターンに沿って走行。自動的に加減速が繰り返され、今回設定した最高時速110キロ近くに達した後、センターの決められた位置に緩やかに停車した。同社は回送車両からの導入を目指し、営業運転時は避難誘導などを行う乗務員の配置を検討している。

 JR東日本次世代輸送システム推進センターの鈴木康明次長は「加減速のスムーズさは運転士と遜色ない。試験結果は良好だったが実用までの課題は多く、導入の時期は決まっていない」と話した。

◆目指すは無人運転 緊急時の対応課題

 JR東日本はヒューマンエラーの抑制による安全運行や労働力不足への備えにつながるとして、新幹線の「無人運転」化に意欲を示している。自動運転の中でもレベルが高い無人運転を高速鉄道で実現できれば画期的だ。だが緊急対応の困難さといった特有の課題もある。

 国際規格を認定する国際電気標準会議(IEC)は、鉄道の自動運転レベルを0~4の5段階に分類。グレード2は自動列車運転装置(ATO)が列車を加減速し、運転士が発車とドア開閉を担う。グレード3は運転士資格のない乗員が避難誘導を受け持つ。最高のグレード4は乗員のいない無人運転だ。3と4は人や車が線路に容易に入れないことが、導入の条件となっている。

 JR各社や大手私鉄は近年、既存の在来線を自動化しようと取り組むが、踏切廃止などに時間がかかるのがネック。新幹線に踏切はないが駅間が長く、車両故障や天災、テロに際し乗客の安全をどう守るかが問われる。

 工学院大の高木亮教授(電気鉄道工学)は、総合的には新幹線は在来線より自動化しやすいとした上で「高速鉄道を自動で運転しているのは中国ぐらいではないか。高速になるほど停車に時間がかかり、狙った場所に止めるのも難しくなるので、避難誘導は大変になるだろう」と指摘する。

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