持倉鉱山跡を訪ねるツアーでは、からみれんがで造られた事務所跡を見学した=阿賀町五十島
持倉鉱山跡を訪ねるツアーでは、からみれんがで造られた事務所跡を見学した=阿賀町五十島

 新潟県阿賀町五十島に残る持倉鉱山跡を産業遺産として保存しようと、町民有志らが動き始めた。産業遺産に詳しい専門家を招いて初の勉強会を開いたほか、跡地を見学するツアーも実施した。関係者らは「保存へ向けた一歩踏み出した」とし、遺構の文化財的な価値を広めていきたい考えだ。

 持倉鉱山は江戸時代中期に採掘が始まったとされ、1920(大正9)年に閉山。現在残っている事務所跡は、銅の精錬で出る鉱滓(こうし)(くず)が原料の「からみれんが」で造られ、アーチ型の窓枠などが神殿のように見えると注目されている。一部で風化が進み、保存を求める声がある。鉱山に向かう道は、五十島の住民らがボランティアで草刈りをしている。

 有志が企画した勉強会は12日に町公民館で開かれ、明治以降の産業遺産に詳しい熊本学園大講師の市原猛志さん(42)が講演。町や町議会、地元住民ら20人が参加した。

 市原さんは、からみれんがは耐久性が弱く現存する建築物が少ないとし、持倉鉱山の文化財的価値を説明。産業遺産学会が認定する「推薦産業遺産」制度を紹介し、「法的な保証はない制度だが、話題や注目を集める。急いで申請し、認定を受けた方がいい」と促した。

 鉱山の歴史を8年かけて調べている阿賀野市の小田辰兵衛さん(77)は「関心を持つ人がほとんどいなかった中、ようやく保存への小さな1歩が踏み出された。遺構の価値を共有できてうれしい」と話す。

 13日には鉱山見学ツアーが行われた。阿賀まちづくり株式会社が主催し、新潟市や阿賀野市などから約20人が参加した。

 雨の中、参加者は約30分かけて事務所跡まで歩いた。小田さんや市原さんから鉱山の歴史やからみれんがの説明を聞いた。事務所周囲を見学した参加者は「(アニメ映画)天空の城ラピュタの中に出てきそうな建物」などと話した。

 阿賀野市から家族3人で参加した男性(55)は「歌手のプロモーションビデオのロケで使われていて、興味があった。鉱山の歴史も分かり貴重な場所だと思った」と話した。