新型コロナウイルス禍に原油高や食品値上がりなどが追い打ちを掛ける。重要なのは、疲弊した暮らしや経済を取り戻すために、対策の規模に見合った効果が出るかどうかだ。

 積み重なった借金が、次世代への大きなつけとならぬよう目を凝らす必要もある。

 政府は19日、ウイルス禍を受けた経済対策を決定した。財政支出は55兆7千億円と過去最大となった。民間の支出額などを加えた事業規模は、78兆9千億円に上る。

 これまでの経済対策で最大の財政支出はやはりウイルス対応で、2020年4月、安倍政権が国民に一律10万円を配る「特別定額給付金」を盛り込んだ48兆4千億円だった。

 今回は現金給付や消費喚起策を重視。18歳以下を対象にした10万円相当の給付や、売り上げが減った中小事業者向けの最大250万円の支援金などが総額を押し上げた。

 給付については、所得制限は設定されたものの「ばらまき」の懸念を拭い去れない。所得制限の線引きなどを巡って、異論が出ている。

 共同通信社が実施した全国緊急電話世論調査では、18歳以下に10万円相当を給付する政府方針について「適切だ」と答えた人は2割以下だった。

 昨年の10万円給付でも、民間調査では「消費を喚起する効果は乏しい」とする見解が目立った。大半が貯金に回ったという見方もある。

 岸田文雄首相が掲げる「成長と分配の好循環」に沿い、子育て世帯への分配を重視した形だが、狙い通りの好循環を実現できるか。

 対策では地方の活性化につながる観光支援事業「Go To トラベル」の再開を明記した。地方の期待は高いだろう。

 これらにより経済を回復軌道に乗せるためにも、流行「第6波」への備えに抜かりがあってはならない。

 他にも保育士、看護師、介護職らの賃上げ、マイナポイント付与、ガソリン価格を抑える原油高対策が並ぶ。

 政府は21年度補正予算案に31兆9千億円を計上し、22年度当初予算案と合わせた「16カ月予算」で景気てこ入れを描く。

 過去最大となったのは来年夏の参院選をにらみ、「30兆円超」の補正を求める与党の声に配慮した面もあるという。

 即効性を望める事業を多く盛り込んだ「その場しのぎ」の印象が強く、岸田首相の足場固めにも見える。

 国民の生活向上に向けた経済対策が、政権をアピールするための「規模ありき」となっては筋が違う。

 財源の多くは新たに発行する国債で賄うとみられ、最終的には国民の税金が投入される。歯止めなき借金膨張で、さらなる財政悪化の懸念が募る。

 首相には、巨額の支出がなぜ不可欠なのか丁寧に説明する責任がある。

 来月に予定される臨時国会でたださなければならない。