約1年半ぶりに入居者との面会制限が緩和された特別養護老人ホーム「あしぬま荘」。感染の収束が期待される=新潟市東区
約1年半ぶりに入居者との面会制限が緩和された特別養護老人ホーム「あしぬま荘」。感染の収束が期待される=新潟市東区

 感染が小康状態の新型コロナウイルス。重症化の恐れが高い高齢者が暮らす福祉施設でも、職員への行動制限を一部緩和する動きがあるが、厳しい対策を続ける所もある。新潟日報の「もっとあなたに特別報道班」(モア特)に、特別養護老人ホームで働く女性から先の見えないつらさを訴える声が寄せられた。「関東に単身赴任の夫が帰省した後2週間は、他の職員と別の部屋で休憩しなければならない。とてもとてもストレス」。気が休まらない日々はいつまで続くのか。介護現場の現状を取材した。(報道部・梶井節子)

 声を寄せた40代女性が相談員として働く中越地方の施設では、新潟県内で一桁台の感染状況が続く中でも、行動制限の大きな緩和はない。新型ウイルス流行当初から、家族以外との会食など、マスクを外す状況で人と会うことは禁じており、職場でも「黙食」を徹底しているため、雑談でつらさを共有することもできない。

 「この仕事を続ける限り、一生こんな生活なのではないかとさえ思う。県外への観光なんて、ずっとずっと行けないと思います」

 施設の感染対策は、厚生労働省や全国老人福祉施設協議会がつくったマニュアルがあるが、最終的に職員の行動制限に関しては施設ごとの判断だ。県老人福祉施設協議会の山田淳子会長は「ウイルスが施設に入った場合の大変さをどの施設も分かっている。お願いベースではあるが、今も三密の回避などの感染対策を厳格に守ってもらっている状況だと思う」と説明する。

 約100人のお年寄りが暮らす新潟市東区の特別養護老人ホーム「あしぬま荘」は感染状況に応じて行動制限にメリハリをつけた。

 同施設では県の特別警報が出ていた10月半ばまで、職員約50人の県外との往来を禁止していた。県外から帰省する職員家族には抗原検査やPCR検査を求め、家族を迎える側の職員本人には法人の費用負担で検査を行った。家族以外との外食や、コンサートなどの観賞も制限事項に入れた。

 ただ特別警報解除後は、事前報告と検査を条件に職員の県外往来を認める方向で緩和した。県外家族が帰省する前の検査の依頼は続けている。

 職員の行動制限だけでなく、入居者と家族の面会も禁止してきたが、今月から約1年半ぶりに再開した。面会室では久々に顔を見せ合って喜ぶ家族の笑顔が広がった。同施設長の女川大輔さん(41)は「厳しい内容だったと思うが、あの期間を何とか乗り越えなければ、という思いで、皆さんに理解いただけた」と振り返る。

 一方、新発田市のグループホームでは職員の離職を懸念し、強い制限は設けていない。県外家族の帰省や、県外へ家族に会いに行く場合は報告を前提に認め、外食も「できれば個室で3人以内」と許容する。

 施設長の男性(55)は「小規模な施設で職員が辞めることになれば、負のスパイラルに陥る」と過度の締め付けにならないよう配慮する。日々の会議では、敬意を込めて職員の労をねぎらっている。

 感染下の施設運営が長期化する中で、職員への配慮が求められている。

 新潟大学大学院医歯学総合研究科の菖蒲川(しょうぶがわ)由郷(ゆうごう)特任教授=公衆衛生学=は、介護の担い手不足が課題となる今、職員の生活の質(QOL)にも関わると指摘。「職員への行動制限は流行の状況に応じて考えるべきで、感染が拡大してきた場合に切り替える柔軟性が大切だ」と述べた。