ダイオキシンや水銀、石油といった化学物質が致死量の8千倍も含まれる環境下でも生き延びられる魚がいるという。北米の大西洋岸に生息する小魚「マミチョグ」の中には、そうした個体群がいるそうだ

▼通常はきれいな環境で暮らす種だが、遺伝子を変化させることで過酷な環境の中でも繁殖できる個体が登場したという。白石拓著「しぶとい生き物図鑑」に載っていた。この本にはほかにも、弱肉強食の自然界をしぶとく生き延びる生き物たちが数多く紹介されている

▼野生動物の粘り強いサバイバル術には拍手を送りたくなるけれど、新型ウイルスのしぶとさにはため息が出る。日本ではワクチン接種が進んで感染する人の数がずいぶん減った。年末年始を控え、経済の回復にも薄日が差し始めたと思ったら、海外から新たな変異株の知らせが届いた

▼感染力が高い可能性があり、ワクチンの効果を低下させる懸念もあるという。世界保健機関(WHO)は最も警戒レベルの高い「懸念される変異株」に指定して「オミクロン株」と名付けた。各国は水際対策など厳戒態勢に入った

▼この株は、人間の細胞に侵入する際の足掛かりとなる表面の突起などに際立った数の変異があるらしい。不気味な存在だが、分かっていないこともなお多い

▼まずは従来の感染対策を徹底したい。新型ウイルスは、これまでも変異を繰り返してきた。今後も新たな脅威が出現しないとは限らない。迎え撃つ人間のしぶとさも試されているのかもしれない。