企業体質の改善を何度も誓いながら、組織として自浄能力を発揮できなかった。首脳陣退陣はその帰結だろう。

 再生には顧客の信頼回復に向けた強い危機意識が必要だ。組織に巣くう悪弊を断ち、経営刷新を進めなければならない。

 システム障害が頻発したみずほ銀行と親会社みずほファイナンシャルグループ(FG)に、金融庁は今年2度目となる業務改善命令を出した。決済システムに対する信頼性を損ねた経営陣の責任は重大だと断じた。

 これを受け、みずほFGは社長とみずほ銀頭取が来年4月1日付で引責辞任し、同FG会長も同日付で会長職を退く人事を発表した。

 メガバンクの首脳3人が一挙に退任するのは異例だ。みずほ側は当初、頭取単独の辞任で収拾させる腹づもりだったが、FG首脳の責任を重視する金融庁が許さなかったという。

 企業統治への信頼を回復し、経営責任を明確化するために3首脳の退任は当然といえよう。経営陣の責任は大きく、むしろ遅きに失した感さえある。

 財務省もみずほに対し、システム障害発生時の外国送金に不備があったとして、外為法に基づく是正措置命令を出した。海外送金前のマネーロンダリング(資金洗浄)のチェックに不適切事例があったと認定した。

 事前チェックを行わずに349件の送金が行われ、本来は入念な確認が必要となる疑わしい送金が3件確認された。

 結果的に不正取引はなかったが、財務省が銀行に是正措置を命じるのは1998年に外為法が改正されてから初めてだ。

 日本を代表するメガバンクとして、あまりにお粗末といわざるを得ない。猛省が必要だ。

 障害は2~9月に8回発生。8月には窓口で入出金の取引が停止するトラブルが起き、みずほ側はこれで「(障害は)もう最後だ」としたが、直後に現金自動預払機(ATM)が利用できなくなった。

 2、3月に発生したATMトラブルなどを調べていた金融庁は、この検査終了を待たず異例の業務改善命令を出した。

 従来は原因究明を待って処分を実施してきたが、原因も特定できず、トラブルを繰り返すみずほに業を煮やした形だ。

 金融庁は、経営陣はシステムが安定稼働していると誤認し、コスト削減を優先させた人員配置を行ったと指摘した。

 システムは銀行業務を支える屋台骨にもかかわらず、効率ばかりに目が行き現場が見えていなかったということだろう。

 改善命令にはみずほの企業風土や組織体質について「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない姿勢」など厳しい言葉並んだ。

 銀行の根幹であるはずの「顧客第一」が掛け声倒れではなかったかどうかも、厳しい検証が求められる。

 経営トップの一斉辞任は区切りにすぎない。これを抜本的な体質の改善にどうつなげるかが問われる。