住民と県側が議論した「三つの検証」に関する県民説明会=28日、刈羽村役場
住民と県側が議論した「三つの検証」に関する県民説明会=28日、刈羽村役場

 東京電力柏崎刈羽原発が立地する新潟県柏崎市と刈羽村で27、28の両日に開かれた、原発の安全性を巡る県独自の「三つの検証」に関する初の県民説明会は、壇上と座席の温度差が際立った。検証に携わった有識者の不在などを問題視する住民側に対し、県側は報告書の内容説明に終始。やりとりは平行線をたどった。

 27日の柏崎会場は59人、28日の刈羽会場は18人が出席した。三つの検証のうち、既に県に提出された東電福島第1原発事故の原因、生活への影響に関する報告書について、県の原直人・原子力安全対策課長、木村浩樹・県民生活課長らが説明した。

 会場からは「委員が一人もいない中での質疑や意見交換にどういう意味があるのか」と、開催の意義を疑問視する声が相次いだ。

 県側は「報告書は県の求めに応じて提出されたものであり、県が責任を持って内容を説明する」と繰り返した。委員が出席しなかった理由については、県民との議論が委員の役割ではないからだと説明した。

 福島事故原因の検証報告書は昨年10月に提出されたが、年明け以降、柏崎刈羽原発でテロなどを防ぐ核物質防護体制の不備などが次々と発覚した。

 再稼働を巡る動きが凍結状態にある現状を背景に、「今回の報告は時期尚早だ」との声も上がった。

 県側は東電の不祥事について「県技術委員会で別途議論する。今回の報告書はあくまで福島事故についての内容だ」とし、三つの検証と柏崎刈羽原発の安全確認は別問題だとした。

 刈羽会場に出席した村内の男性(64)は「実際に検証作業をした委員から話を聞きたかった」と語った。

 県民説明会における住民と県側との主な一問一答は次の通り。

◆東電適格性は別途議論 柏崎会場

 -東京電力福島第1原発事故の原因検証に関する報告書がまとまって以降、柏崎刈羽原発で核物質防護不備など新たな問題が出てきた。今回の報告は時期尚早ではないか。

 「報告書はあくまで福島事故についての内容だ。核物質防護不備の関係や東電の適格性については県技術委員会で別途議論しており、状況を見て随時説明していきたい」

 -検証委員会の委員が出席しないのはおかしい。

 「説明会は各委員会から報告書の提出を受けた県が、県の責任において開いたものだ」

 -6号機の大物搬入建屋のくいが損傷していた問題について、技術委で直ちに調べてほしい。

 「技術委は現在、7号機の安全性を確認している。6号機については時期を見ながら取り上げたい」

 -避難生活の実態に関する報告書では、柏崎刈羽原発で事故が起きたらどうすればいいかが分からない。なぜわれわれ住民が避難生活のことまで考えなければならないのか。

 「避難については今後ともできる限り、どのようなものがいいかを考えながらやっていく。意見はしっかりと受け止める」

 -検証総括委員会は、池内了委員長と県との間に意見の食い違いがあって開かれていないのか。

 「県としては総括委で三つの検証の取りまとめをお願いしているが、委員長は東電の適格性や安全確認をしたいという意向もあるようだ。そこは技術委員会でしっかりとやっており、総括委の守備範囲とは違う。委員長と意見の調整をしているところだ」

 -柏崎刈羽原発から半径30キロ圏の自治体で説明会は開催しないのか。

 「今後は上中下越での開催を考えている」

 -各検証委員会の委員長や副委員長に、こういう検証をしてもらいたいと直接伝えたい。今後の説明会で呼ぶことはできるか。

 「委員はそれぞれの知見を基に、県に対して提言することが役割だ。委員が(県民と)議論することは、県としては今のところ考えていない」

◆ヘリ避難悪天候想定外 刈羽会場

 -福島事故の原因に関する検証で技術委が抽出した133点の課題・教訓は、柏崎刈羽原発の再稼働の前に確認するのか。これらの課題が解決されなければ再稼働してはならない。

 「技術委や県で確認したい。課題について全て(東電などから)しっかりとした説明があり、内容が確認されなければ、稼働は認めないという形で、技術委で議論していきたい」

 -検証委員会のロードマップを見ると、それぞれの委員会で報告書がまとまったら総括委を開催することになっている。なぜ守られなかったのか。

 「各委員会の検証状況もあり、若干の変更がある。現在は各委員会の進捗(しんちょく)状況を見ながら総括委を開催するということで調整している」

 -刈羽村でのヘリコプターを使った夜間避難訓練が、2回とも天候不良で実施できなかった。実際の事故時に対応できるのか。

 「私どもも正直、なぜできないのかという思いはあった。陸上自衛隊の約50人乗りのヘリが群馬県から来る予定だったが、三国峠付近の天候が悪く、陸自から訓練直前に中止の申し入れがあった。2日間とも天候が悪いとは想定しておらず、本当にご迷惑をかけた」

 -(昨年12月に建て替え工事を終えた)7号機の大物搬入建屋のくいについて、県はチェックしているのか。

 「工事の内容は把握している。今後、技術委の委員から疑問が呈されれば深掘りしていく。7号機のくいがどうだったのかは疑問を持っている」