来年2月に開業予定のアパグループの新しいホテル=新潟市中央区
来年2月に開業予定のアパグループの新しいホテル=新潟市中央区

 総合都市開発のアパグループ(東京)が、新潟市中央区万代5に建設中のホテルが来年2月8日にオープンする。客室数は約1千と市内ホテルでは最多。プールやジムなどを備えた大型施設の開業で周辺ホテルとの競争激化は必至だ。そうした中、働く人材の奪い合いが既に始まっている。パート求人では、アパホテルの客室清掃の時給が周辺に比べ大幅に高いことが業界に波紋を広げている。もともと人手不足で悩んでいた競合業者は「人材が流れてしまう」と危機感を募らせている。(報道部・細山謙治)

 「新潟市で初めて見る金額。ショッキングだ」。ビル清掃などを手掛ける大手の新潟ビルサービス(新潟市中央区)、鈴木英介会長(70)は舌を巻く。視線の先には「客室清掃スタッフ時給1000~1300円。採用祝金3万円」というアパの新ホテルの求人広告があった。

 市中心部に建設中の「アパホテル&リゾート新潟駅前大通」は、地上19階建てで客室1001室を備える。近隣ホテルの客室数は、ホテルオークラ新潟の265室、ホテル日航新潟の203室をはじめ100~300室が中心。1千室の大台は例のない規模だ。

 市中心部を管轄するハローワーク新潟によると、現在求人が出ている中央区内のホテルの客室清掃のパート時給は860円が多い。本県の最低賃金の時給859円と同水準だ。対するアパは約1・5倍を提示している。

 アパグループによると、来年2月開業のアパホテルでは、清掃スタッフとして少なくとも約120人を雇用する予定という。時給の設定について担当者は「新潟市の大手ホテルチェーンの清掃スタッフの時給設定を踏まえたほか、短期間に大量採用が必要であることなどを勘案した」とする。

 新潟ビルサービスはアパに対抗し、清掃を請け負うホテルでパート時給を千円に引き上げた。鈴木会長は「それでも人が集まらない。ホテルで働く人を奪い合う『戦国時代』が始まっている」と明かす。

 他のホテルも人員確保に頭を悩ませている。

 ホテルオークラ新潟では、客室の清掃を委託する企業に人材確保を依頼するが、担当者は「なかなか集まっていないのが現状」と話す。客室の稼働率が高い日が続くと、ホテルの社員が清掃スタッフの作業の一部を手伝うこともある。

 ハローワーク新潟によると、新型コロナウイルスの感染状況に落ち着きが見られていることもあり、管内の10月の有効求人倍率は1・65倍。中でもサービス職は3・44倍と高い。

 同ハローワークは「2020年度は2倍台だったが、21年度は3倍台で推移しており、人手不足がさらに厳しくなっている」とする。求職者が求人数を大きく下回る状況だが、解消のめどは立っていない。

 ホテルオークラ新潟の担当者は「今後クリスマスなどを控え、稼働率の高い日が続くと、清掃が間に合わない可能性もある」と困り果てた様子だった。