3~6月に県立近代美術館で開催された「Viva Video!久保田成子」=長岡市
3~6月に県立近代美術館で開催された「Viva Video!久保田成子」=長岡市
濱田真由美さん

 新潟市西蒲区出身の前衛芸術家久保田成(しげ)子さん(1937~2015年)の個展「Viva Video!久保田成子」に携わった県立近代美術館(長岡市)の濱田真由美・主任学芸員(46)ら4人が倫雅(りんが)美術奨励賞を受賞した。国内で知られてこなかった久保田さんの業績を長年調査し、光を当てたことが評価された。

 同賞は京都国立近代美術館長などを務めた河北倫明(みちあき)さんが1989年に創設し、優れた新鋭の美術評論家、美術史研究家の活動を表彰している。学芸員の企画を対象にした賞では国内で最も歴史があるという。県立近代美術館からの受賞は2人目。

 濱田さんは2部門のうち美術評論部門で選ばれた。ともに受賞した3人は同展が巡回した東京、大阪の美術館の学芸員と米国在住の研究者。

 久保田展は、久保田さんの没後初の個展で、モニター映像と立体を組み合わせた「ビデオ彫刻」など国際的に評価された久保田さんの作品を展示した。3~6月に県立近代美術館で開催した後、全国を巡回し、東京都現代美術館で来年2月23日まで開かれている。

 同賞の選考委員会は「若くして米国に渡った久保田を正当に評価する機運も日本では熟さず、これまで取り上げられることが多くなかった」とし、久保田展を「時間をかけて調査を続け、多くの作品や資料に真摯(しんし)に向き合った」と評価。同展の図録も「多くの関係者による文章や未公開のインタビューなどを交え資料的な価値も高い」と評した。

 濱田さんは10年余り前から久保田展を構想し、米国に久保田さんを訪ねるなど準備を進めてきた。濱田さんは「時間と労力をかけた研究を評価していただき、ありがたい。美術館の学芸員が地道な調査・研究を行うことの価値を理解してもらうきっかけになれば」と話した。