北朝鮮を訪れ、58年ぶりに姉と再会する林恵子さん(右)=2018年6月、北朝鮮咸興市郊外(日本電波ニュース社提供)
北朝鮮を訪れ、58年ぶりに姉と再会する林恵子さん(右)=2018年6月、北朝鮮咸興市郊外(日本電波ニュース社提供)
島田陽磨監督

 帰還事業で北朝鮮に渡った姉と58年ぶりに再会した女性を追ったドキュメンタリー映画「ちょっと北朝鮮まで行ってくるけん。」が11日から、新潟市中央区の市民映画館シネ・ウインドで公開される。撮影は北朝鮮でも行われ、現地の人たちの暮らしぶりも記録した。島田陽磨監督(46)は新潟日報社の取材に「時代と歴史に翻弄(ほんろう)されてきた姉妹を、普遍的な物語として見てほしい」と語った。

 帰還事業は1959年12月14日に新潟港から第1船が出港し、84年まで続いた。日本人妻約1800人を含む約9万3千人が北朝鮮に渡った。

 作品は熊本県に住む林恵子さん(70)が主人公。年の離れた姉、中本愛子さん(89)は60年、帰還事業で在日朝鮮人の夫とともに北朝鮮に渡った。やがて中本さんが金や物品を催促するようになったため、林さんは反発。長らく音信不通の状態が続き、家族にすら姉の存在を隠していた。

 2018年に中本さんの消息を知った林さんは訪朝を決意し、劇的な再会を果たすストーリー。現地で他の日本人妻と交流する様子も描かれている。

 島田さんは撮影のため18~19年に計3回訪朝した。驚いたのは「国民が冗談や愚痴を言い合い、普通に暮らしていた」ことだった。「日本人はなかなか想像がつかないと思う。北朝鮮の空気感を伝えたかった」と、国民の日常を描くことも心掛けた。

 映画では、帰還船が出発した新潟港や、船を見送った本県の男性らも登場する。シネ・ウインドでは帰還事業が始まって今月で62年となるのに合わせて公開される。島田さんは「帰還事業は約9万3千人が北朝鮮に行った歴史的な大移動で、新潟は舞台の一つだ。地域の歴史を知る意味でも、幅広い世代の人に見てほしい」と話した。

 24日まで。上越市の高田世界館でも上映される予定。