新型コロナウイルス禍の中で多くの国民が感じる不安を払拭(ふっしょく)するには、国会での活発な論戦が欠かせない。その鍵を握るのは野党の質問力だ。

 野党第1党の立憲民主党が新体制となって迎えた臨時国会が始まり、衆院本会議の代表質問で泉健太代表、西村智奈美幹事長が岸田文雄首相との初の論戦に臨んだ。

 泉氏は代表選で主張した通り「政策提案型」の質問に徹し、批判のトーンも抑えた。政権交代の受け皿となれる政党だと印象付ける狙いだろう。

 経済対策で実施する18歳以下への10万円相当の給付を巡っては、市町村の手間がかかり、3回目のワクチン接種とも重なるとして、自治体の判断で一括給付も認めるべきだと提言した。

 経済対策の裏付けで今国会に提出された補正予算案は、6月に編成を提案したのに遅すぎると指摘した。

 今国会の焦点の一つである国会議員への「文書通信交通滞在費」については、日割り支給のほかに使途公開も求め、「与党にやる気があればできること」として首相に決断を求めた。

 だが首相は「各党が議論し、合意を得る努力を重ねる必要がある」と述べるにとどめた。

 泉氏の主張は明確だが、政策提案型のスタイルはどうしても迫力に乏しいように映る。

 官僚の疲弊を招くと批判された府省庁担当者らへの野党ヒアリングについても泉氏は見直す考えを示している。

 「批判ばかり」と見られることを気にしているようだが、必要な批判はきちんと行ってほしい。政権監視は野党に課せられた重要な責務だ。

 代表選で与党と対峙(たいじ)すべきだと主張していた西村氏は、厳しい論調が目立った。

 ウイルス対策に関しては、感染し自宅療養中に亡くなった人が多数いるとし、「医療先進国の日本でなぜこんなことが起きたのか。政治の責任は免れない」として謝罪を求めた。

 女性が多い非正規雇用を巡る問題や、児童相談所の人員増強を求め、「定額働かせ放題のような裁量労働制の範囲を広げるべきではない」と訴えた。選択的夫婦別姓や同性婚など質問は多岐にわたった。

 女性唯一の候補として戦った代表選で「理不尽を許さない、多様性を力に」とした訴えを具体化した内容だ。

 ただ首相の答弁はやはり所信表明など従来の域を超えるものではなかった。さらに質問力を鍛えてほしい。

 今後の国会運営で気掛かりなのは野党の足並みだ。

 立民は共産、社民両党との野党国対委員長会談を今後開催しないことにした。国民民主党が離脱し、3党になっていた。

 先の衆院選で自民は単独で安定的に国会運営をできる絶対安定多数を確保している。そうした中で、野党の存在感が低下しないか心配だ。

 政治に緊張感を生むためにも野党は引き続き連携の道を探ってもらいたい。