県の補助金を使い、食堂にパーティションを設置した東栄館=新発田市月岡温泉
県の補助金を使い、食堂にパーティションを設置した東栄館=新発田市月岡温泉

 新型コロナウイルス対策として、旅館などの宿泊施設が感染防止設備に利用できる、新潟県の補助金の申請が、対象となる約1800施設の約3割にとどまっている。事業者からは「負担金もあり、設備導入は難しい」「資材の高騰や不足で商品が調達できない」などの声が上がる。県は既に導入した設備でも対象になる場合があるとし、利用を呼び掛けている。

 補助金は最大750万円。対象設備は空気清浄機能付きエアコンや自動水栓手洗い場など、感染防止につながるもので、経費の4分の3を補助する。アルコール消毒液などの消耗品は2分の1を支援する。

 県は7月30日から申請を受け付け、旅館や民宿などへ周知を進めてきたが、申請は12月8日時点で約560施設にとどまっている。

 観光企画課の担当者は「思ったより申請数が伸びていない」と話す。別の補助金を活用し、感染対策を進めてきた施設が多いことも一因とみる。

 宿泊事業者からは厳しい現状が聞こえてくる。新発田市月岡温泉にある「東栄館」の樋口秀人社長(53)は「宿泊者はある程度回復しても宴会はない。経営が厳しい状態が続く中、ありがたい」と補助金を抗菌作用がある畳と布団、パーティションの購入費に充てるという。

 一方、妙高市でペンションを経営する男性(73)は申請していない。「売り上げが落ちている中、4分の1の金額でも負担しなければならないのは厳しい。全額補助であれば…」とため息をつく。

 また、ある事業者は「新型ウイルスの影響で資材が高騰し予算を超えてしまった。申請を迷っている」と打ち明ける。

 観光企画課は、ワーケーションスペースへの改修や、無線LAN整備など新たな需要に対応する事業も含め、5月14日以降に発注した感染防止設備であれば、補助対象になる可能性があるとする。

 申請は12月28日まで。県宿泊事業者感染防止対策支援事業補助金事務局、025(288)6035。