手遊びや歌を楽しむ親子=10日、長岡市千秋1の「子育ての駅千秋てくてく」
手遊びや歌を楽しむ親子=10日、長岡市千秋1の「子育ての駅千秋てくてく」

 政府が18歳以下の子どもに現金とクーポンの計10万円相当を給付することについて、新潟県内の子育て世代からは全額現金を期待する声と、「クーポンでもいい」との意見に分かれた。経済効果を期待する商店主は、入学準備の時期までに給付するよう求めた。

 4人の子どもを育てる下越地方のシングルマザー(42)は「自由に使える現金に越したことはない。現金給付にする自治体が増えているようなので、自分の所もそうなるといい」と期待する。

 1歳の長男を育てる長岡市の公務員女性(28)は「現金でもクーポンでもどちらでもいい。おむつや洋服など必要な物は多いので、もらえればありがたい」と話した。

 6歳と2歳の子どもを育てる長岡市の会社員男性(42)は、年収960万円未満の世帯を対象としていることを疑問視。「生活が困窮していない家庭にも一律に配ることに違和感がある。目的が経済活性化なのか、困窮世帯を救うためなのかが分からない」と首をかしげた。

 子育て関連商品を扱う店は、給付の時期に注目している。上越市の本町商店街で学生服販売店を営む男性(48)は「入学準備は2月末から3月上旬。その時期に給付金があるかないかで購入する金額が変わる」と、事務手続きが早い現金支給を望む。

 経済効果に懐疑的な声も。魚加工品店や菓子店など専門店が並ぶ古町通五番町商店街振興組合(新潟市中央区)の池一樹理事長(62)は「加盟店の客は高齢層が中心。どちらの支給形態でも経済効果は期待できないだろう」とみる。

 一方、支給対象外となる世帯の人は議論を冷ややかに見る。警備と飲食店の仕事を掛け持ちして暮らす新潟市の40代独身男性は昨年夏、勤務先の飲食店がウイルス禍で約2カ月間休業し、貯金を取り崩してしのいだ。「今回はかなりの収入がある世帯でももらえる。不公平感がある」と不満を訴えている。

◆県内市町村長「早期に基準を」

 18歳以下の子どもに現金とクーポンを5万円ずつ給付する施策を巡り、政府は10日、10万円全額の現金給付を可能とする方針を改めて示した。ただ、それが可能となる基準は明確に示されておらず、現金給付を希望する県内市町村長からは早期の提示を求める声が相次いだ。

 首相は5万円分はクーポンを基本としつつ「地方の実情に応じ、現金給付も可能」とする。県内では関川村が全額現金とする方針を示したほか、19の市町村長が新潟日報社の取材に「現金で配りたい」と答えた。

 ただ、全額を現金で給付するには、国からの財源措置が前提となる。磯田達伸長岡市長は「クーポンでなければ自主財源でやれというなら厳しい」と明かす。

 こうした事情から、全額現金給付を求める村上市、聖籠町、田上町、出雲崎町などの首長は、国の支給方法の方針について「早く示してほしい」と訴える。

 取材に対し、「検討中」と答えた首長も国の動きを注視する。中原八一新潟市長は「もう少し明確な国からの通知や情報がほしい」と求め、神田一秋阿賀町長は「現金は迅速に支給でき、クーポンは地域振興につながる。国の方針を尊重したい」と答えた。

 国の制度設計が不十分なまま、政策が進んだことへの戸惑いも広がる。藤田明美加茂市長は「実際に事務をする現場のことがよく分かっていない」、滝沢亮三条市長は「政府の方針がぶれると現場が混乱する」と苦言を呈した。

 クーポンにした場合の問題点も指摘された。印刷の手配や使える商店の選定など手続きの煩雑さから、中川幹太上越市長は「非常に手間が掛かる。現金の方が市民も喜ぶ」と説明。小規模の自治体には「(自治体内で)使える店舗が少ない」との声も多かった。

 一方で、政府の姿勢に理解を示す見方もあった。桑原悠津南町長は「方針が変わるのは、自治体などの声を聞いて柔軟に対応した結果」と話した。

 クーポンを配ると答えたのは2市村。関口芳史十日町市長は市内での消費喚起を期待。弥彦村は「現金にすると貯蓄に回る可能性がある」との懸念を示した。

10万円給付 県内市町村の意向