基調講演し、プロジェクトへの思いを語った川崎栄子さん=13日、新潟市中央区
基調講演し、プロジェクトへの思いを語った川崎栄子さん=13日、新潟市中央区

 北朝鮮帰還事業の船が出た新潟市中央区の新潟西港近くの「ボトナム通り」に柳を植え、北朝鮮による人権問題を伝える資料館の設立などを目指すプロジェクトの発足式と講演会が13日、同市のホテルで開かれた。帰還事業の第1船が新潟を出港してから14日で62年。脱北者らプロジェクトのメンバーは「二度とこのような間違いを起こしてはいけない」と訴えた。

 第1船は1959年に出港。日朝友好を記念して中央区のボトナム通りに約300本植えられた柳は現在、3分の1以下に減っている。プロジェクトでは、新たな柳の植樹を通じて帰還事業が生んだ悲劇を伝えるとともに、帰還事業や日本人拉致事件に関する資料館と帰還者の名前を刻んだ碑の設立を目指す。

 プロジェクトの代表で、高校生の時に帰還船に乗り、その後脱北した川崎栄子さん(79)=東京都=が基調講演し、「地上の楽園」と宣伝された北朝鮮では実際には日々の食事すらままならず、多くの餓死者を見たと振り返った。

 川崎さんは、プロジェクトを通じて「新潟を自由と人権の象徴の地にしたい」と説明。資料館設立などにより、帰還事業と拉致問題を重大な人権問題として訴え続ける考えを述べた。

 来場した新潟市北区の会社員男性(64)は「改めて問題の重大さを認識した」と話した。

 プロジェクトでは今後、寄付を募りながら、植樹の本数や時期などについて検討を進める。