かつて家々にいろりやかまどがあった頃は、天上や梁(はり)に黒いすすがたまった。連日の煮炊きで多くのすすが出る。たまる一方なので、しっかり取り除かなくてはならなかった。すす払いである

▼その名残として、1年間にたまったほこりの掃除を師走恒例の神事とする神社仏閣もある。今年も、そんなニュースが聞こえてくる季節になった。大人数で大量のほこりを一斉に払う作業は壮観ですらある

▼煮炊きで生じるすすは、窓にたまるとガラスが黒くなって外が見えなくなる。さて、こちらも黒いすすがたまり視界が妨げられているようだ。先の衆院選新潟5区を巡る「裏金」問題である。当事者の言い分が大きく食い違い、真相が一向に見えてこない

▼小選挙区で敗北し比例で復活当選した自民党の泉田裕彦さんが、同党県議の星野伊佐夫さんから選挙に勝つための裏金を要求されたと主張した。名指しされた星野さんは集会の会場費や印刷費など選挙活動の必要経費の話だったと強調した

▼泉田さんの知事時代から師弟関係にあった2人が対立し、泥仕合を演じる異常事態だ。多くの有権者をあぜんとさせ政治への信頼を損ねている。泉田さんは星野さんを党から除名するよう県連に求めており、県連は2人に意見聴取するなどして年内決着を図るという

▼すす払いは伝統的に、正月の準備が始まる今月13日にやるのが習わしだった。「今年の汚れ、今年のうちに」という宣伝文句ではないが、早急にすすを払って真相を明らかにせねば。

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