
田中均氏
2002年の第1回日朝首脳会談で北朝鮮は日本人拉致を認め、拉致被害者5人の帰国に至ったが、新潟市の横田めぐみさん=失踪当時(13)=ら他の被害者救出に向けた兆しは、今も見えない。首脳会談実現への交渉を担い、小泉純一郎首相と金正日総書記(いずれも当時)の会談にも同席した田中均元外務審議官が新潟日報社のインタビューに応じ、「水面下で接触し、ある程度、時を待つ必要がある」と23年の外交交渉の在り方を語った。(報道部・小林千剛)
-日朝関係のこれまでをどう見ますか。
「拉致問題は本当にゆゆしき問題。私は丸1年交渉し、結果的に訪朝となった。『拉致問題だけを交渉しても結果が出ない』という当時の基本的な考え方は、いまだに間違っていないと思う。外交交渉は互いを益する結果でなければ、うまくいかない。北朝鮮が望んだのはキャッシュだが、経済協力ができるのは国交を結んでから。拉致や核の問題を解決して国交を結べば、という展望を与えて包括的な解決を目指した」...
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