信金信組の幹部らが企業の経営改善に向けたノウハウを共有した勉強会=新潟市中央区の県信用保証協会
信金信組の幹部らが企業の経営改善に向けたノウハウを共有した勉強会=新潟市中央区の県信用保証協会

 新型コロナウイルス禍で多額の債務を抱える事業者が増える中、新潟県内の金融業界が連携し、事業者の経営改善を模索する動きが広がっている。売り上げやコストの改善、事業承継など幅広い支援が求められることから、県信用保証協会が音頭を取る形で信用金庫、信用組合を交えた勉強会も始まった。個別の信金信組でも、地元の消費喚起などにつなげようと独自の取り組みが進んでいる。(報道部・貝瀬拓弥)

 新潟市中央区で先月に開かれた勉強会。2日間で信金信組の幹部ら計約60人が集まり、事業者の経営を立て直すための支援について意見を交わした。「できることは限られている」との本音も漏れたが、「まずは金融支援で時間的猶予をつくること」「従業員の愚痴にヒントがあったりする」などと知恵を出し合った。

 金融庁から参加した渡辺茂紀・地域金融企画室長補佐は、元信金マンで自ら事業で挫折も経験した異色の人物だ。渡辺氏は「企業支援は事業者が実現可能性の高い方策に集中できるように選択肢を絞り込む作業。そこを数字で整理するのは金融マンの得意技だ」と激励した。

 主催した県信用保証協会は、中小企業が融資を受けやすくなるよう返済保証を行う組織だ。全県から信金信組を集めた勉強会を開くのは今回が初めて。「今までの業界常識で『そこまでやるのか』とされてきた経営支援についてネバーギブアップの精神で考える会にしたい」と意気込む。今後も継続開催する予定だ。

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 異例の勉強会の背景には、金融機関共通の危機感がある。新型ウイルスの影響で打撃を受けた事業者に対し、実質無利子無担保の県制度融資4440億円が実行された。今後返済が本格化するのに伴い、倒産の増加が懸念されている。

 倒産などで返済が滞った場合は県信用保証協会が肩代わりして金融機関に返済することになる。信金信組の取引先に多い零細企業はウイルス禍で打撃を受けやすい上、もともと経営が思わしくなかった企業も少なくない。金融機関には事業者に寄り添い、業況改善を目指す「伴走型支援」が求められている。

 だが、現場の職員を対象に新潟財務事務所が今夏行ったアンケートでは、事業支援について「意識はしているが積極的な働きかけはできていない」「組織内では取引獲得などの方が評価される」との回答も少なくなかった。

 県信用保証協会保証推進部の山賀茂雄部長は「事業を断念する事業者が増え、地域経済や雇用を維持できなくなることを非常に懸念している。経営支援の気運を盛り上げ、できることからやりたい」と話す。

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 信用金庫、信用組合にも独自の動きが出ている。糸魚川信用組合(糸魚川市)が事務局を務める糸魚川市地元消費促進協議会は、市内の飲食店などの売り上げ回復に向け、約百店で使えるクーポンブック「糸魚川得本」を11月25日から販売している。

 得本は1冊1100円。千円分の商品券が付いて、飲食店などで提示すると割引も受けられる。地元企業から協賛を募り、3500冊を作製した。

 黒石孝理事長は「ウイルス禍では苦しむ事業者がいる一方、あまり困っていない企業や貯蓄がある人もいる。お金を出してもらえる場を作ることで地域の消費を生きた形で回したい」と話す。

 塩沢信用組合(南魚沼市)は、取引先との小まめな対話や商談会の開催などで経営支援を進め「取引先の赤字体質脱却にほぼめどがついた」(小野澤一成理事長)という。

 10月からは、他の金融機関の取引先への支援にも乗り出した。資金繰りが苦しくなったがメイン行からの追加融資が難しい企業などを、メイン行と連携して融資や本業支援で支える。すでに他行から複数の紹介を受け、支援を進めている。

 小野澤理事長は「今は非常時であり、取引先の取り合いをしている場合ではない。三方良しの他行共存型支援で地域経済を守りたい」と語った。