我妻奎太さん
斎藤玲子教授

 新潟大大学院医歯学総合研究科国際保健学分野の研究グループは、2020年の新型コロナウイルス流行初期に新潟市内で発生したクラスター(感染者集団)の特徴を明らかにした。感染者への聞き取りによる積極的疫学調査と、ウイルス同士の類似性をみる遺伝子解析を突き合わせた結果、市内における第1波(2020年2月~3月)は東京から、第2波(同4月~5月)は関東や関西、九州など複数の地域から、それぞれウイルスが持ち込まれたことが裏付けられた。

 第1波は中国・武漢で流行した系統、第2波はヨーロッパ系統のウイルスだったことも分かった。

 研究グループは、疫学調査の結果を遺伝子解析で補完することで感染拡大の実像が解明できたと説明。新潟市では、どんな場所や活動に感染のリスクがあったのかを今後さらに明らかにしていきたいとしている。

 研究は同大大学院生の我妻奎太(わがつまけいた)さん(25)が中心となって行った。研究グループによると、クラスターの発生状況を自治体レベルで分析した報告はほぼないという。成果は国際専門誌「フロンティアーズ・イン・マイクロバイオロジー」の電子版に掲載された。

 新潟市保健所が集めた感染者63人分のデータと、そのうちウイルス遺伝子の全長配列が得られた47例を詳しく調べた。その結果、第1波は東京由来のウイルスが、スポーツ活動や高齢者施設などを通じて感染拡大。第2波は関東、関西といった大都市圏や海外など複数の流入経路から新潟市内に広がっていったことが判明した。

 また、新型コロナウイルスに感染し発症から10日以上経過した人は、発症から9日以内の人と比べ、ウイルス量が千分の一以下に抑えられていることも分かった。「発症日から10日」とされている隔離期間の妥当性が確認できた。

 共同研究者の斎藤玲子教授(55)は「疫学調査により新潟市内での感染拡大のきっかけは推定されていたが、今回の研究でウイルスの遺伝子の面からもそれが正しいと実証できた」と意義を強調した。