今週は今年最後の回ですので、1年を振り返りながらお話をします。

 先日、いつものように朝散歩に出掛けました。この日は快晴で、自宅を出てしばらくすると目黒駅近くの行人坂(ぎょうにんざか)から真正面に、雪化粧した富士山が見えました。しばらくたたずんで見ていると、道行く人がすれ違いざまに振り返り、富士山を見て再び歩き出して行きました。

 その場所から富士山が見えて、元気をもらえることが分かっている様子でした。行人坂を下り、途中の大圓寺(だいえんじ)の本尊を参拝して、さらに下っていくと目黒川沿いの道に出ました。

 道すがらいつも見ている桜の木ですが、ほとんどの葉が落ちているのに、幹近くの葉だけは数枚紅葉して残っていました=写真=。

 この日の散歩のテーマは「1年の振り返り」でしたから、この桜の木の1年を振り返ると、主役と脇役の交代のように思えました。桜の花が満開のころには、道行く人たちは花ばかりに目が行き、幹近くの枝ぶりを気にも留めなかったのではないかと想像したのです。

 ところが、季節が春から夏を越え秋を過ぎ、初冬になって初めて、この枝はこの木の主役を張っているように映りました。

 私にとって今年は還暦の年、つまり生まれてから30年間が2回過ぎたことになります。30年を人生の一区切りと考えると、第3章の始まりということになります。

 同じく還暦で女医の友人は、大学の同期が10人は亡くなっていると教えてくれました。人生の第3章に入れたことに感謝し、第3章も全力疾走したいと思っています。

 春先に出版した「頭がよくなる! 寝るまえ1分おんどく366日」(西東社)は子どもたちだけでなく高齢者にもよく読まれて、10万部を超えました。さらに「1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き」(ダイヤモンド社)は、出版から2カ月ほどで7万部を超え、予測以上の広がりを見せています。

 この2冊は人生の始まりから、「音読障害で左利き」という著者の弱い部分を60年間で克服してきた結果生まれた作品でした。自分の弱みで苦労したことが未来につながり、いずれ脇役から主役へと代われることを再認識させられた1年でした。