ニッパーなどの工具の製造現場を見学する堀之内高生徒=三条市土場
ニッパーなどの工具の製造現場を見学する堀之内高生徒=三条市土場

 新潟県三条市の修学旅行の受け入れ人数は2021年度、3千人突破が確実となった。集計が終了した4~9月だけで2988人となり、20年度の約750人から一気に4倍に跳ね上がった。観光関係者は「新型コロナウイルスの影響で、近い所を目的地に選ぶ学校は多く、そこにアピールすることができた」と分析している。

 魚沼市の堀之内高校2年生49人は10日、修学旅行で三条市を訪問した。当初は関西方面で2泊3日の旅行を計画していたが、県内での1泊2日に変更した。

 同市土場のマルト長谷川工作所では、19人の生徒がニッパーなどの作業工具の製造工程を見学した。1200度に熱した鋼鉄を750キロのハンマーで鍛造する場面や、職人が手作業で研いで刃を付ける様子などを目にし、ニッパーの切れ味を実際に体験した。

 生徒(17)は「ものづくりの現場は迫力があり、ニッパーの切れ味も鋭かった。関西方面と県内、どちらに行ったとしても楽しめる旅行になっていたと思う」と満足そうに話した。

 生徒を案内した同社の男性(37)は「ウイルスのため遠方に行けないという事情もあるが、これを機会に身近な地域の価値を再発見してくれればうれしい」と願った。

 ウイルス感染が拡大してから、県内の小中高校が、修学旅行先に県外ではなく近い場所を選ぶ傾向は強まっている。隣の燕市は、ものづくりのまちとして人気を集め、20年度は3千人を超える修学旅行生が訪問した。

 同様の魅力があるとして、三条観光協会などでは、受け入れ先としてのPRを強化した。市の公式サイト内に「修学旅行ナビ」を開設。見学可能な企業や三条市立大学など10施設の受け入れ人数や所要時間などを明示し、学校や旅行会社などの相談に対応してきた。

 21年度上半期は、県外2校を含む77校、2988人が市外から訪れた。10月以降も順調に修学旅行生が訪問している。

 三条観光協会の事務局を担当する市営業戦略室の森田誠室長は「燕三条地域は数年前から『工場(こうば)の祭典』を開き、多くの工場が見学に対応できる下地をつくっていた」と強調する。これまでの積み重ねがあったからこそ、ウイルス禍が生んだ修学旅行需要の急増に対応できたと分析する。

 22年度は市の中心部に図書館や鍛冶ミュージアムを含む複合施設が完成する予定で、市は修学旅行受け入れの新たな拠点になると期待している。