練習場で巧みな演技を披露する早川起生さん=長岡市福道町
練習場で巧みな演技を披露する早川起生さん=長岡市福道町

 自転車競技「BMXフラットランド」のプロライダー早川起生(きお)さん(19)=新潟県長岡市城岡3=が、10代の日本人では初となるBMX界最高峰の「NORA CUP(ノラカップ)」を受賞した。今年はスイスであった世界大会で頂点に立ち、東京五輪の閉会式にも出演。世界的な評価を得た。「フラットランドの知名度をもっと高めて自分よりも若い世代の目標になれるよう、誰も見たことのない技に挑戦したい」と意気込む。(長岡支社・田中信太朗)

 BMXフラットランドは平らな地面で回転したりバランスを取ったりして芸術性の高い技を披露し、難易度や華麗さを競う。自転車にはブレーキがなく、車輪の左右に足を乗せる「ペグ」という突起があるのが特徴だ。全日本フリースタイルBMX連盟によると、大会出場レベルの選手は国内に約100人いるという。

 早川さんは9月、スイスで開かれた世界大会に参加。各国の選抜メンバー10人で競う中、優勝を飾った。国内では、「マイナビ Japan Cup」などで優勝を重ね、男子エリートクラス(15歳以上)の「2021シリーズランキング」1位に輝いた。

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 競技との出合いは中学1年のころ。動画投稿サイト「ユーチューブ」で偶然目にした動画だった。「BMXのことを全く知らなかったが、自転車がこんな動きするのかと驚いた。自分もやってみたいと思った」。運動経験はなかったが、すぐに両親に自転車を買ってほしいと懇願した。

 指導者はいないため、練習はインターネット上の動画を見て独学。SNS上でアドバイスを募るなどして技の精度を高めていった。

 転機は、長岡工業高校3年の時だった。2019年に神奈川県であった世界大会で、かねてSNS上で交流があり、目標だったオーストラリアのプロライダー、サイモン・オブライエンさんと初対面。「あこがれのサイモンからTシャツをもらった。うれしくて、すぐにそのシャツを着て競技に臨んだ」と振り返る。

 この大会で優勝すると、評判を聞きつけた関係者が働きかけ、サイモンさんが所属するブランド「Colony」とスポンサー契約を結んだ。

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 プロとして「誰もやっていない技を成功させ、もっと驚かせたい」と独自の演技を編み出すことを目指す。技術面では、ペグに足を乗せる選手が多い中、重心が不安定になるペダルの上に足を乗せる技を取り入れた。演技の構成面でも、ショー向けの技とされる、回転しながらハンドルに体を乗せる「サーカス」という技を組み込んだ。

 他の選手と異なる動きを披露するため、得点が伸びないこともあるというが、「その分、技を成功させたら、見てくれた人の驚きは大きくなる」と自身のスタイルを貫く。

 現在は長岡市内に借りた倉庫で弟の晃生(るお)さん(18)、結生(ゆお)君(11)と一緒に練習する。「お互いにモチベーションを上げて練習ができる環境が自分を大きくしてくれた」と分析する。

 「NORA CUP」受賞は悲願だった。有名選手らによる投票で毎年1人だけに贈られる栄誉ある賞だからだ。「2年連続に向けてさらに技を磨いて、大会での優勝を重ねたい」と意気込む。

動画あり