土地・建物が日生ホールディングスに売却されたホテルオークラ新潟=新潟市中央区
土地・建物が日生ホールディングスに売却されたホテルオークラ新潟=新潟市中央区

 ホテルオークラ新潟(新潟市中央区)の土地・建物が日生ホールディングス(同)に売却されたことが21日、発表された。新潟市中心部は同ホテルを含め約40のホテルがひしめき、長引く新型コロナウイルス禍で一様に経営体力を奪われている。開業を来年に控えたホテルもあり、生き残りを懸けた戦いはさらに激しくなりそうだ。一方、建物の老朽化が進むオークラについては「再開発含みの取得だろう」との見方も広がる。ただ、建て替えや再開発には制度的なハードルがあり、先行きは見通せない。

 ホテルオークラ新潟の建物は、前身が1978年に開業して40年余りが経過。ホテル側は「大規模改修や建て替えを10年以上前から検討していた」とする。

 そうした中で感染禍が直撃。イベントの中止・延期、外出自粛などで客室や宴会場、レストランの稼働率が低迷し、改修費用を自前で確保するのは断念した。

 新潟観光コンベンション協会によると、同市中央区の新潟駅周辺、万代、古町地区には約40のホテルが軒を連ね、客室数は6千室近くに上る。来年2月にはアパグループ(東京)が、客室数1001室と県内最大級のホテルの開業を予定している。

 こうした中、既存ホテルも差別化に向け、施設の改修やサービス向上を急ぐ。

 新潟第一ホテルやホテルグローバルビュー新潟といった新潟駅前のビジネスホテルは、昨年から今年にかけてリニューアルを実施。客室やエントランスを一新したり、大浴場を新設したりして利用客の満足度向上を図っている。

 万代シルバーホテルの瀬沼光博常務は、ウイルス禍を機に変化のスピードがさらに速まったと実感。「これまで以上にホテルの特徴をSNS(会員制交流サイト)などで宣伝する必要がある」と、商業施設が集まる万代シテイの立地をアピールする考えだ。

 ホテルオークラ新潟と同時期の1976年築のホテルイタリア軒では、3年後に迫る開館150周年に向け、ブランド再構築を加速させる。高野潤総支配人は「ホテルは装置産業なので改修はついて回る。計画を立ててやっていくしかない」と前を向いている。

 ホテルオークラ新潟のように、ホテルが土地や建物を売却した上で運営を継続する方式は近年、大手チェーンが相次いで取り入れている手法でもある。運営と施設保有を分離することで身軽な経営体制とし、財務体質を改善するためだ。特に新型コロナウイルス禍以降は採用する例が目立つ。

 帝国データバンク新潟支店の岩瀬宏之支店長は「買い手にとっても有名ホテルは投資先として有望になり得る」と指摘する。

 新型ウイルスで訪日客や国内客が減っていても、長期的には利用者が戻ってくる見込みがある。改修やリニューアルを施せば投資に値すると、買い手側は判断するという。

 ホテルオークラ新潟も、築40年超ながら大手チェーンの系列にあり知名度は高い。岩瀬支店長は「ホテル側は土地や建物の所有にこだわらず、必要な資金を確保する道を選んだということだろう。オークラというブランドがあるからこそ、今後の回復の可能性を見込んで売買が成立したと言える」と分析している。

◆信濃川沿いの高さ制限が再開発に壁

 ホテルオークラ新潟は、国指定重要文化財・萬代橋を望むほか、新潟駅-古町の都心軸の真ん中に立地する。

 「オークラがいなくなるのであれば買う必要はない。貸すために買った」。日生不動産の櫻井剛専務はこう説明し、建て替えや再開発については「現時点で考えていない」と強調する。だが、築40年以上がたつ建物だけに近い将来、対応を迫られるのは確実だ。

 新潟の「一等地」にそびえる同ホテルは、建物の容積率緩和など規制緩和の対象となる都市再生緊急整備地域内にある。開発に有利な地と映るが、新築する建物によっては市の高さ規定に抵触する恐れがある。

 本川(ほんせん)大橋から下流の信濃川沿岸地域では、新築する建物の高さを「50メートル以下」とする2006年に定められた規定がある。それ以前に建てられたオークラの高さは61メートルあるため、建て替え時には現状より高さを抑えることが求められる。

 こうした中、現在50メートル以上の施設の建て替えに限り既存の高さまで制限を緩和したり、建物幅を敷地の3分の2まで抑える代わりに高さ上限を75メートルとしたりする案などが持ち上がっている。しかし、市まちづくり推進課は「現在、市景観審議会で議論をしている段階」とし、結論は出ていない。

 別の不動産関係者は、再開発の場合でも「萬代橋と(格式があるホテルの)オークラがあってこその象徴」と立地の優位性を指摘。「例えばオークラ以外の建物となったら、今の価値が残るかは分からない」と指摘する。

ホテルオークラ新潟 日生不動産への売却発表