柏崎市立図書館に設けられたサバトコーナー。子どもたちの背の高さに合わせた棚もサバトから寄贈を受けた=同市学校町
柏崎市立図書館に設けられたサバトコーナー。子どもたちの背の高さに合わせた棚もサバトから寄贈を受けた=同市学校町
サバトで使われていたいすや備品を見つめる宮川久子さん=柏崎市東本町3

 絵本の楽しさを伝えてきた新潟県柏崎市の市民グループ「小さな絵本館サバト」が23年間にわたる活動を終え、約4千冊の絵本を柏崎市に寄贈した。市は図書館など公共施設にサバトコーナーを設け、自由に手に取れるようにした。創設者で元代表の西川暁子さん(75)は「市に引き取ってもらえ、絵本との出合いの場を広げることができた」と新たな活用を期待する。

 イタリア語で「安息日」の意味があるサバトは1998年、西川さんら絵本好きの女性が集まって結成した。絵本がある場所を提供して子どもたちが自由に読んだり、学校などに出向いて子どもが選んだ絵本を読む「絵本ライブ」を開いたりしてきた。

 2006年からは東本町3の「旧宮川産婦人科医院」を活動拠点にしたが、07年の中越沖地震で全壊した。絵本はメンバーやボランティアが運び出したものの、「もう終わりだと思った」と西川さんは振り返る。ただ旧医院所有者の宮川久子さん(90)が「絵本を読む子どもたちの笑顔が好き」と跡地に建物を再建。活動は続いた。

 再び風向きが悪くなったのは新型コロナウイルスが感染拡大してからだ。19年の年末から1年半の休館を余儀なくされた。メンバーは「至近距離で絵本を読むことができなくなった。近くで触れ合えないならばサバトの意味がない」などと話し合った。メンバーの高齢化が進んだこともあり、9月末での解散を決めた。

 サバトの絵本は出版社や閉園した幼稚園、個人からの寄付がほとんどで、中越沖地震後は全国から届いた。解散時には絵本以外も含めて蔵書は9千冊以上になった。「地震後に運び出した本、家庭で愛されてきた本など大切なものばかり。捨てるわけにはいかない」(西川さん)と引き取り先を探したところ、市が応じてくれることになった。

 同じ本や、メンバーが引き取った本を除いた約4千冊を11月下旬に市に寄贈した。市立図書館ではサバトコーナーを設け、常時約500冊を手に取れるようにした。貸し出しはできないが、定期的に絵本を入れ替えるという。「かしわざき市民活動センターまちから」(西本町3)にも一部を置き、館内で読むことができる。

 解散まで代表を務めていた宮川さんは「何もなくなった元の活動拠点を見るとさみしいが、公共の場に置いてもらえれば多くの人に読んでもらえる」と喜ぶ。

 西川さんも「何度も危機があったが、その度に絵本を受け入れてもらえる場所があった。絵本は人の心を揺さぶる優れた文化だと発信し続けられたからかな」とほほえんだ。