新型コロナウイルスの影響で、本県を含む地方経済は厳しい状況が続いている。

 岸田政権は「成長と分配の好循環」による「新しい資本主義」の実現を掲げ、地方重視をアピールするが、実効性のある経済再生ビジョンこそ欠かせない。

 今年は経済対策と感染対策をどう両立していくのか政権の真価が問われる年だ。

 その中で地方再生の戦略をどう描き、軌道に乗せていくのかに目を凝らしたい。

◆明確な将来像を示せ

 岸田文雄首相は就任以来、「新しい資本主義」の主役は地方だと力説する。地域が抱える人口減、高齢化、産業空洞化などの課題をデジタルの力を活用して解決すると説明している。

 地方を重視する姿勢は歓迎したい。ただ、どんな青写真を描いているのかは見えにくい。

 政府は大量の情報を処理するデータセンター拠点を5年程度で地方に十数カ所整備するという。

 さらに、「デジタル田園都市国家構想」を推進し、デジタルによる地域活性化を進め、地方から国全体へのボトムアップを実現すると意気込む。

 だが「デジタルによる地域活性化」といわれても、なかなかイメージが湧きにくい。

 データセンターで地方や暮らしがどう変わるのか、デジタル田園都市国家の具体像はいかなるものか。そこがあいまいでは期待していいのかどうか分からない。政権は明確にしなければならない。

 安倍政権が掲げた経済政策「アベノミクス」が「景気回復の恩恵を全国津々浦々に届ける」としながらも地方や国民にその実感が乏しかったのは記憶に新しい。

 大企業や富裕層は潤ったが、中小企業が多い本県などに恩恵が届いたとはいえない。

◆地場企業の底力期待

 12月の県内企業短期経済観測調査(短観)によれば、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は前回調査より2ポイント低下し、6四半期ぶりに悪化した。

 製造業で原材料高が響いたほか、非製造業では宿泊・飲食サービスなどの回復遅れが目立つ。

 全国の景況感は改善が見られ、非製造業は感染禍前の高水準まで復調した。緊急事態宣言が解除され、個人消費に回復の動きが出てきたことが背景にあるだろう。

 残念ながら県内はそこまで至っていない。日銀新潟支店は時間差で好影響が表れるとの見方を示すが、好転の胎動を見逃さずに回復の足取りを確実なものにしたい。

 県内ではウイルス禍の中で、商機を見いだした企業もある。

 例えば、車載計器製造の日本精機(長岡市)は、主力の計器以外の民生品開発に力を入れている。

 光学技術を生かして室内の二酸化炭素(CO2)濃度を測定し、3密回避の指標を示す機器の販売を始めた。価格を他社従来品より安く設定し、安全・安心な暮らしへの貢献を目指す。

 地場企業の取り組みを下支えする金融機関の役割も一層重みを増すだろう。

 第四北越銀行(新潟市中央区)は発足2年目を迎えた。同行がメインバンクの企業は2021年10月時点で約1万8千社、県内シェアは56・5%に達する。

 圧倒的な存在感は、地域に対する責任の大きさを示す。きめ細かなサービスを展開し、県経済発展に寄与してほしい。

◆コメだけから脱却を

 本県はウイルス禍によるコメ余りに伴う米価下落や、天候不順による作柄の悪さに見舞われた。

 県は22年の県産主食用米の生産目標について、21年の生産実績から3・2%減らし53万8千トンとした。非主食用米への転換を積極的に進める。

 需要の落ち込みに応じたコメ生産のために、農家の理解を得る努力が欠かせない。

 昨年はコシヒカリとの2枚看板を期待される新之助の1等米が初めて90%を下回った。

 農家が適切に栽培できるよう原因を究明し、今年の作付けに生かさなければならない。

 県はコメ頼みの「一本足打法」から園芸作物への転換を後押しする。着実に進めてほしい。

 本県には枝豆やイチゴといった全国に誇れる農産物も多い。技術指導や機械購入の支援など意欲のある農家を支えてもらいたい。

 日本の農林水産物・食品の輸出額が、21年は初めて1兆円を超えた。県産米輸出額は20年度に10億円の大台を突破し、本県にとって明るい兆しとなった。

 世界的な巣ごもり消費で、インターネット販売が好調に推移したためで、本県の日本酒も感染拡大前より状況が好転している。

 好機を逃さず安全安心、高品質の本県産品の強みを生かし、国内外にアピールしたい。