日本と中国は今年、国交正常化から50年の節目を迎える。

 当時の田中角栄首相が1972年9月に訪中し、実現した。戦争の加害国と被害国という歴史や領土問題などを抱えながらも、恒久平和と友好を誓った。

 半世紀を経て国際社会はいま、米中の対立激化という「新冷戦」時代にある。

 米中両国と関係の深い日本は、緊張緩和へ対話を促す橋渡し役となってほしい。日中国交正常化50年をその弾みとしたい。

◆批判真摯に見据えよ

 中国の習近平指導部は強権的、覇権的な行動を強めている。

 香港では民主派が弾圧され、昨年末の香港立法会(議会)の選挙は親中派が議席をほぼ独占した。

 強制労働など新疆ウイグル自治区での人権弾圧もあり、国際社会は厳しい目を向けている。

 中国は国連の実態調査も受け入れず、弾圧の事実を隠しているようにしか見えない。

 2月に開催される北京冬季五輪を巡っては、中国の人権姿勢を強く批判している米英などが外交的ボイコットを決めた。

 中国は「世界一流の軍隊」を実現するとし、台湾統一を掲げる。日本に関しては、中国公船が沖縄県・尖閣諸島周辺の領海に繰り返し侵入している。

 習国家主席(党総書記)は今年後半の党大会で異例の3期目に入るとみられる。

 専制政治に対する国際社会の懸念を真摯(しんし)に受け止め、状況の改善へ適切に対応するべきだ。それが大国としての責任だろう。

 米国のバイデン大統領は、中国を「唯一の競争相手」と捉え、警戒を強めている。

 昨年11月にオンライン形式で行われた米中首脳会談は、軍事的衝突を回避し、対話を重ねることで一致したが、台湾や人権、通商などの問題では平行線をたどった。

◆排除の論理への懸念

 その後、バイデン政権は北京五輪の外交ボイコットを決めるなど中国に圧力を加えている。

 バイデン外交に目立つのは、中国やロシアなどの専制主義に対する「排除の論理」だ。

 オンライン形式で11月に初めて開いた民主主義サミットでは「専制主義を押し返す」と宣言、民主主義の旗の下への結集を訴えた。

 米国の招待を受けて参加したのは日本や台湾など100余りの国・地域で、中国やロシアなど専制主義と見なす国は除外した。

 バイデン氏とロシアのプーチン大統領は昨年末に電話会談し、ロシアが隣国ウクライナの国境で軍を増強している問題について協議したが、溝は埋まらなかった。

 民主主義対専制主義の対立が強まれば、世界の分断と国際秩序の不安定化を加速させかねない。話し合いを粘り強く継続していくことが求められる。

◆岸田外交が問われる

 今年は、岸田外交が本格始動する年だ。米中対立が続く難しい局面の中で、外相経験のある岸田文雄首相の手腕が問われる。

 岸田首相は早い時期に訪米し、バイデン氏と首脳会談をする考えを示している。米中関係改善が国際社会にとって極めて重要であることをしっかり伝えてほしい。

 中国とどう信頼関係を築いていくかも大きな課題だ。

 北京五輪の対応では、政府代表団を派遣しないことを決めた。米英などと歩調を合わせた事実上の外交ボイコットと言える。

 台湾有事を想定し、自衛隊と米軍が新たな日米共同作戦の原案を策定した。

 有事の初動段階で、米海兵隊が鹿児島県から沖縄県の南西諸島に臨時の攻撃用軍事拠点を置くとしている。

 人権や領土問題について毅然(きぜん)とした姿勢で臨むのは当然だ。一方で、いたずらに緊張を高めるような動きを危惧する。関係悪化は経済にも影響を及ぼしかねない。

 日中国交正常化50年を機に友好ムードを醸成し、平和と繁栄につながる日中関係をしっかり築いていきたい。

 北朝鮮は、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記が権力を継承して10年が過ぎた。ミサイルの発射実験を繰り返して周辺国を威嚇し、日本人拉致問題は解決済みだとしている。

 首相に求めたいのは拉致問題解決へ、膠着(こうちゃく)状況を打開することだ。残された家族は高齢化し、親世代の他界が相次ぐ。一刻も早く救出への糸口を見いだし、被害者帰国という結果を出してほしい。

 韓国とは元慰安婦や元徴用工を巡る問題で、戦後最悪とされる関係が続く。「佐渡島(さど)の金山」の世界遺産登録に向けても支障となっている。

 3月の韓国大統領選も見据え、関係改善に力を尽くすべきだ。

 安倍・菅政権では北方領土問題も進展がなかった。岸田首相の外交手腕が試される課題だろう。