長岡技術科学大の本間智之准教授らが研究で使用したグリーンランド深部の氷=北海道大学・内田努准教授提供
長岡技術科学大の本間智之准教授らが研究で使用したグリーンランド深部の氷=北海道大学・内田努准教授提供
電子顕微鏡で撮影した氷の結晶=北海道大学・内田努准教授提供
本間智之准教授

 太古の空気が閉じ込められているグリーンランドの氷の中に、ガスの一種であるアルゴンが含まれていることを長岡技術科学大学(新潟県長岡市)の本間智之准教授(44)=材料科学=や北海道大学、国立極地研究所(東京)の研究グループが突き止めた。地球の大気の歴史を解明する手掛かりになると期待され、温暖化の影響の正確な予測につながる可能性もある。

 南極やグリーンランドといった極地では積もった雪が夏でも溶けないため、「氷床」と呼ばれる氷の地層が形成される。低温高圧下の深部では雪が氷に変化し、この時に雪の隙間にあった空気が気泡として結晶内に取り込まれる。この氷を詳しく解析できれば、地球の大気成分の変遷を知ることができるため、各国で研究が進められている。

 結晶の中に大気の主成分である窒素、酸素が存在することは確認されていたが、それ以外の成分はレーザー光を使った従来の方法では発見されていなかった。

 研究は、大気の成分で3番目に多く、割合では1%ほどのアルゴンを発見することを目指し、2014年に始まった。

 グリーンランドでは約2万年前の氷河期の氷(深さ1548メートル)と約12万5千年前の間氷期の氷(深さ2406メートル)を掘削した。解析は電子顕微鏡による観察と、エックス線で対象物の構成元素を特定する装置を組み合わせる新しい方法で行った。

 結晶はデリケートなため、霜の付着や帯電を防ぐのが課題だった。2年にわたる試行錯誤を経て、試料をマイナス80度前後で圧力が高い環境に置いて分析したところ、アルゴンの検出に世界で初めて成功。昨年11月、雪氷学の専門誌で論文を発表した。

 長岡技科大の本間准教授はナノ・原子レベルでの材料研究が専門で、電子顕微鏡を使った観察の技術で貢献した。

 約1万年前に終わった氷期では、地球の温度が数十年で約10度も変化する急激な気候変動が25回も起きていたことが分かっている。研究グループは今後、アルゴンの濃度の測定や、他の地点での調査に取り組む。

 本間准教授は「過去の気候を研究すれば地球環境の変化のメカニズム解明につながり、温暖化の影響をより正確に見積もることも可能になる」と話している。