3年前に逆さまつげと診断され、病院で月に1、2本抜いてもらっています。本数が少なく、今の治療法を続けるしかないと言われましたが、通院も大変です。他に方法はないでしょうか。場所は左目の下の真ん中あたりで、毎回同じです。(佐渡市・69歳女性)
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外傷や皮膚疾患の既往がなく、加齢とともに発症して診断された下まぶたの逆さまつげは、「退行性下眼瞼(がんけん)内反症」または「睫毛乱生(しょうもうらんせい)」と思われます。眼科での診察で診断できます。どちらの病気も異物感や涙目などを引き起こし、まつげを抜くことで一時的に症状の軽快は得られますが、1、2カ月でまつげが生え始めると症状が再燃してしまうため、根治治療は手術となります。
退行性下眼瞼内反症は、加齢によって下まぶたの組織が緩み、まつげの生え際が眼球側に向いてしまう病気です。下まぶたの組織の緩みを是正する手術が必要となります。
睫毛乱生は、まぶたの位置はほぼ正常ですが、まつげの生える向きに異常がある病気です。眼瞼結膜炎などでまつげの毛根があるまぶたの縁がわずかに内側に入り、そこに涙がたまって慢性的な炎症が生じるのが原因の大半とされています。
睫毛乱生は1、2本のものから多数にわたるものまでさまざまで、程度によって手術方法が異なります。1、2本であれば、向きの悪いまつげの毛根に針を刺して通電し、毛根を破壊する電気分解という方法や、毛根切除術となります。多数であれば、まつげの生え際に切開を加え、まつげの向きを直す手術となります。
病態や重症度によって治療法が異なるため、手術可能な病院への紹介を含め、主治医の先生とご相談ください。
(長岡赤十字病院・眼科)