国内外の投資を呼び込み、市場を活性化させる。その目的につなげるには、今後も継続的な改革の取り組みが必要だ。県内をはじめ個々の企業も魅力を高める努力が欠かせない。

 東京証券取引所は4月4日の市場再編に向け、新しい3区分の所属企業を発表した。現在の1部、2部、マザーズ、ジャスダックをプライム、スタンダード、グロースとする。

 再編は各市場のコンセプトを明確化し、企業に持続的な成長を促すことで投資を呼び込むのが狙いだ。

 東証1部には約6割もの企業が集中し、投資家にとって利便性が低いとの批判が強く、見直しが急務になっていた。

 流通株式の時価総額5億円未満などと緩い1部の上場廃止基準を、海外のライバル市場と遜色ない水準とすることで、経営者に緊張感を持ってもらう狙いがある。

 産業界全体にある、1部上場を果たせば後は安泰という錯覚を払拭(ふっしょく)する効果も期待された。

 そのため最上位のプライム移行には、流通株式の時価総額100億円以上など厳しい基準を設けたが、東証1部上場2185社の84%に当たる1841社がとどまり、市場の姿は現在と大きく変わっていない。

 基準に満たなくても、どう適合させるか計画書を提出すれば、当面は経過措置としてプライムに残れるからだ。

 最上位からの陥落を恐れる企業に配慮した形だが、経過措置の期限も区切っておらず、改革の本気度が伝わりにくくなったことは否めない。

 再編が海外投資家向けのアピールになるとの期待は、肩透かしを食った格好になった。

 ニューヨークなど他の市場に株式売買代金で水をあけられる中で、東証はもっと危機感を持つ必要がある。改善が小幅すぎる、違いが分からないなどの市場関係者からの批判に真摯(しんし)に向き合ってもらいたい。

 プライム市場以外では、スタンダード市場は1477社(1部から移行の344社を含む)、新興企業向けのグロース市場移行は459社だった。

 県内企業は東証1部19社のうち、プライム市場移行は14社で7割強となった。ほかの県内関係の上場24社は、すべてスタンダード市場を選択し、グロース市場への移行はなかった。

 県内でも、海外市場にも進出する企業はグローバルな事業展開を目指し、プライムを選択したケースが目立つ。最上位というブランド力、信用度の高さを営業力につなげることを狙いに挙げた企業もあった。

 計画書を提出してプライム移行を申請した企業は、知名度にも影響し、海外投資家から選択してもらうために入りたい市場だとする。

 目的は違っても、企業が経営を通じて投資家を呼び込む努力を続けなければならないことに変わりはない。県内企業が競って企業価値を高め、それが市場とともに地域の活力にもつながるよう期待したい。