木島朋子医師

 皆さんこんにちは。県立中央病院総合内科・脳神経内科の木島朋子です。今回は「診方」(診察の視点)から、手のしびれについて解説したいと思います。

 長く正座した後に立ち上がろうとしたら、足がしびれて歩けなくて困った、ということをほとんどの方が経験されていると思います。このときに感じるジンジン、ピリピリ、チクチクするような感じ。これがしびれです。

 さて、しびれが手に生じた場合、どんなことが考えられるでしょうか。

 朝起きたときに体の下になっていた手がしびれ、その後すぐにしびれが消えてしまう場合。これは正座の場合と同じで、一時的に血行が悪くなって起きることですので心配ありません。

 親指、人さし指、中指にしびれがある場合には「手根管症候群」が疑われます。手根管とは、手の付け根にある骨と手首を横切るように走る靱帯(じんたい)によって作られたトンネルで、その中に神経が走っています。

 何らかの原因でトンネルが狭くなった場合に神経を圧迫し、しびれが生じます。手を使う動作で悪化しやすく、朝起きたときに強く手を振ると、しびれが和らぐのが特徴です。

 加齢により首の骨が変形すると、神経の束である脊髄が圧迫されて手にしびれが出ることがあります。しびれに加えて字を書く、箸を持つなどの細かな手作業が難しくなったり、階段を下りることや歩行に支障が出たりする場合もあります。

 瞬間的、突然に片側の手のしびれが起こった場合には、脳梗塞や脳出血の可能性もあります。その場合、顔や、手と同じ側の足にもしびれが出るほか、しびれ以外の症状として手足の脱力やめまい、ろれつが回らないなどの症状を伴うことが多いです。このような場合には、ちゅうちょせず直ちに受診してください。

 しびれを感じるのは脳の役目ですが、しびれの原因は脳や神経の病気に限らず実にさまざまであるのはあまり知られていません。糖尿病、甲状腺ホルモンの異常、薬剤の副作用、更年期障害や心の問題から起こる場合もあります。

 今回ご紹介したものは、しびれを起こす疾患の中の一部に過ぎません。

 いずれにしても長期間良くならず、徐々に悪化しているしびれは放置せずに一度受診されることをお勧めします。脳神経内科、整形外科、内科などしびれの原因によって扱う専門科は異なりますが、どこを受診すればよいか迷うときには、かかりつけ医に相談するとよいでしょう。

 ウイルス禍で外出や活動に制限がかかり、何かとストレスがかかるこの頃です。今一度、自分の体の声に耳を傾けてみるとよいかもしれませんね。