「次の停車駅は○○、○○」などと、列車の車内放送の物まねをする芸人がいる。決まってやや高めの鼻に掛かったような声を使う。車掌といえばこの声だ

▼ただ元JR東日本車掌の関大地さんは著書「乗務員室からみたJR」の中で、自身も同僚も「鼻にかかる声」は出さなかったと記す。まれな存在とした上で、こうした声はマイクの性能が低かった時代、その方が声がよく通ったからなど、いくつかの説を紹介する

▼関さんは外国人客のため車内放送に英語を取り入れ、ネットなどで「英語車掌」と話題になった。著書では、録音による自動音声が主流となった今も、トラブルが発生した際に車掌が車内放送をする大切さを指摘した。車内外の状況を把握し、乗客が求める情報を分かりやすく伝えられるのはやはり車掌なのだ

▼JR東は先日、2025~30年ごろに山手線など首都圏の主要路線でワンマン運転の導入を目指すと発表した。安全設備を充実させ、運転士が車掌の業務も担うという

▼人手不足への対応などが狙いとするが、気掛かりなこともある。安全といわれてきた日本の列車で最近は凶悪犯罪が起き、被害者が命を落とすケースも目立つからだ。何者かが暴れたり、急病人が出たりしたら運転士1人で十分な対応はできるのか

▼関さんは車掌として勤務した11年間を「誇りを持って、ずっとマイクを握り続けていた」と記した。省人化は時代の流れ。とはいえ、列車内に自動音声だけが響く鉄道の旅は味気ない気がする。

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