通常国会が17日開会した。岸田政権で初めてとなる長丁場の国会論戦だ。2022年度予算案審議などを通し、岸田文雄首相が目指す国家像や政策、政治姿勢を掘り下げ、国民に示す場となるよう望みたい。

 初日は、首相が就任後初の施政方針演説を行った。

 新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」の感染が急拡大する中、首相は冒頭からウイルス対応が政権の最優先課題と強調。早期克服に「全身全霊で取り組む」と表明した。

 ウイルス対応は国民の命と健康を守るために不可欠であり、経済社会活動を安定軌道に乗せていく上でも極めて重要だ。引き続き全力を挙げてほしい。

 オミクロン株に関しては、感染力の高さに対する警戒が叫ばれる一方で、重症化率は低いとの指摘もある。

 だが油断は禁物だ。感染爆発により、医療体制が逼迫(ひっぱく)する事態は避けなければならない。

 演説の中で首相は、6月をめどに感染症法の在り方を含む中長期的な対応を取りまとめる方針を示した。

 今後の感染動向もにらみながら、国会でも積極的に議論を重ね、より効果的な対策につなげてもらいたい。

 論戦で期待したいのは、首相の看板政策や政治姿勢などいわば「岸田流」が目指すものを明らかにすることだ。

 首相の言葉は聞こえがよいものの、どう実現するのか具体的な道筋が見えにくい政策も目立つ。そこを分かりやすく提示する議論を求めたい。

 首相は成長と分配の好循環による「新しい資本主義」の実現を掲げる。施政方針演説の中でも「経済再生の要」と位置付けた。だが、その手法は明確に示されていない。

 成長戦略では、肝いりの「デジタル田園都市国家構想」を巡り、首相は「新しい資本主義の主役は地方」と訴え、デジタルを活用した地方活性化の意欲を強調する。

 地方を重視する首相の姿勢自体は歓迎したい。ただデジタルが地方活性化とどう結び付くのかはイメージしづらい。

 安倍政権が華々しく打ち出した「地方創生」も、成果に乏しい。そうした中で岸田政権に期待できるのかどうか。

 分配戦略では税制改正などによる賃上げに意欲を示すが、結果につながるか見通せない。演説でも春闘での賃上げへの期待を表明するにとどまった。

 国の在り方に関わる首相の発言や考え方を巡っても、気掛かりがある。

 今回の演説でも「敵基地攻撃能力」の検討に言及し、スピード感を持って防衛力を抜本的に強化していくとした。北朝鮮による弾道ミサイル発射が繰り返される中で、さらに前のめりになることを危惧する。

 「改憲ありき」のような首相の姿勢にも懸念が募る。

 岸田流は、首相が目指す国民の「信頼と共感」を得られる政治なのか。国会論戦では、そこに目を凝らしたい。