新潟県は18日、新型コロナウイルス対応の改正特別措置法に基づく「まん延防止等重点措置」の全県への適用を政府に要請した。政府は同日、本県を含む1都12県に対して重点措置を追加適用する方針を固めた。19日の政府対策本部で決定する。期間は21日から来月13日までの約3週間。重点措置が適用されれば、本県では初めてとなる。県は飲食店に営業時間の短縮を要請する方針を示しており、県民に一定の行動制限が課せられることになる。

 要請は、県が18日に県庁で開いた新型ウイルスの対策本部会議で決定した。

 県は重点措置が適用された場合、飲食店などに午後8時までの時短営業と酒類の提供禁止を要請する。十分な感染対策が取られた「認証店」については、午後8時まで酒類の提供を可能とし、午後9時まで営業することもできる。

 県立学校の部活動については平日のみを原則とし、県外での活動は公式大会などに限定する。一方で、県立図書館などの公共施設は休館せずに運営を続ける。

 県と新潟市は18日、新たに281人の感染を確認したと発表した。13日から6日連続で200人を超え、感染拡大のスピードは衰えていない。

 県は、12~14日に検査した患者116人のち、97・4%に当たる113人が、感染力が強い「オミクロン株」の疑いがあると発表。県内の感染は、これまで主流だった「デルタ株」からオミクロン株にほぼ置き換わったとみている。

 重点措置の要請に踏み切った根拠の一つとして、現在の感染拡大が続いた場合、2月5日には1日当たりの新規感染者数が1万8176人となるシミュレーション結果も示した。

 17日現在の入院患者数は167人で、確保病床の使用率は25・6%にまで上昇している。県のシミュレーションでは、2月5日には必要な病床数は850床となり、県の確保病床数653床を大きく上回る。

 花角英世知事は対策本部会議後、報道陣に「このままの感染拡大が続くと、医療が大変なことになりかねないという危機感を県民と共有したい」と述べた。

 政府が重点措置を適用する方針を固めたのは、本県のほかに、東京、埼玉、千葉、神奈川の首都圏4都県と群馬、岐阜、愛知、三重、香川、長崎、熊本、宮崎の8県。重点措置の適用が決まれば、広島、山口、沖縄の3県と合わせ計16都県に拡大する。

 岸田文雄首相は「病床が逼迫(ひっぱく)するような緊急事態になることがないよう、引き続き高い警戒感を持つ」と強調した。

◆[解説]県内の医療逼迫に現実味

 新潟県は政府に対し新型コロナウイルスの「まん延防止等重点措置」の適用要請に踏み切った。県内の重症者がゼロにもかかわらず、県民生活に影響を及ぼす「切り札」を使うのは、オミクロン株の感染力が想像を超え、医療崩壊のシナリオが見えたからだ。

 県が重点措置を視野に入れ始めたのは今月上旬。1日当たり感染者がわずか3日で35人から100人台に急増。県庁内は「手を打たないと倍々ゲームで膨らむ」と緊張感が高まった。

 重点措置適用に向け水面下で国と協議を続ける中、15日には感染者が300人近くに。3週間後に感染者が2万人近くに跳ね上がり、県が確保する病床数では足りなくなる試算が浮上したことも背中を押した。

 県は県民の行動を制限して感染者急増の勢いを抑え込み、医療逼迫(ひっぱく)を回避する戦略を描く。ただ、既に重点措置を取る広島、山口両県が全面的に禁止する飲食店の酒類提供を、本県は認証店に認める。昨夏、県が特別警報を発令した際には公共施設の休止を求めたが、今回はそこまで踏み込まなかった。

 人の流れを抑えれば、回復基調の県経済に冷や水を浴びせるのは必至で「社会経済活動の維持に折り合いを付ける」(花角英世知事)との判断だ。しかし、感染拡大に歯止めがかからなければ、さらに効果的な対策をためらわずに打ち出すことが求められる。