水道管の凍結や破裂が相次いだことを受け、空き家の漏水を点検する業者。貯水槽が凍って水道が使えないアパートもあった=1月28日、新潟市西区
水道管の凍結や破裂が相次いだことを受け、空き家の漏水を点検する業者。貯水槽が凍って水道が使えないアパートもあった=1月28日、新潟市西区

 1月下旬、新潟県を襲った寒波で水道管の凍結や破裂が相次ぎ、佐渡市では夜間断水が行われた。そんな中、新潟市東区の50代女性から「住んでいるアパートの貯水槽が凍結して水道が6日間使えなくなった。補償はないのだろうか」との声が、新潟日報の「もっとあなたに特別報道班」(もあ特)へ寄せられた。寒波が原因で普段の生活ができなくなった場合、借り主の救済策はないのだろうか。(報道部・黒島亮)

 新潟県内は1月24日ごろから、強い寒波に見舞われた。女性によると、25日午前、洗濯機に「エラー」の表示が出て凍結に気付いた。不動産会社に電話すると、「業者にお願いしてますが、新潟市内で水道トラブルが相次ぎ、復旧のめどが立たない」と言われたという。

 女性は外の雪を3階の自室まで運んで浴槽に入れ、溶けた水を使うなどしてしのいだ。水道が使えるようになったのは、5日後の30日の夕方。管理会社からは「水、復旧しました。ご迷惑をおかけし誠に申し訳ございません」と書いた紙が郵便受けに入っていただけだったという。

 水が出なければ料理が作れず、風呂にも入れない。総菜を買ったほか、洗い物ができないため使い捨て食器を使った。そのほか銭湯代などもかかった。

 新潟地方気象台によると、1月25日の東区の最低気温は、観測史上最低の氷点下5・6度。新潟日報社の取材では、翌26日に県内で少なくとも水道管の凍結が720件、破裂や水漏れなどが300件、詳細不明の水道トラブルが315件あった。

 民法は、賃貸住宅で必要な設備が使えなくなった際、借り主に責任がなければ家賃が減額されると定めている。給湯器の故障でお湯が使えなくなったケースなどが該当する。ただ、今回のようなケースは設備自体が壊れたわけではない。

 賃貸住宅の契約に詳しい明海大学不動産学部(千葉)の中村喜久夫教授に聞くと、「今回の場合は借り主の責任ではないので、原則、家賃減額の対象になる」と指摘。「実際にいくら減額されるかは、明確な基準がないので一概には言えない」とした。

 家賃の減額を求める場合、入居者と大家・不動産会社が交渉することになる。中村教授は「日本賃貸住宅管理協会」がインターネットで公表している「貸室・設備等の不具合による賃料減額ガイドライン」を紹介。さまざまなケースで減額の計算方法の例を示している。中村教授は「ガイドラインを参考にしながら交渉するのも一つ」と話す。

 一方、断水などの場合は、貸主に責任があるのかといったことが法律ではっきり定められていないという。中村教授は「契約時に、どのようなケースで家賃減免があるのかといったことを確認してほしい」とアドバイスした。