東京電力福島第1原発事故から間もなく12年を迎える。長期間の避難を強いられた被災地は、復興が本格化する一方、東電が今年春から夏ごろに放出を目指す原発処理水の問題が影を落とす。東電や国は処理水の安全性を強調するが、漁業関係者は風評への不安を拭いきれないままだ。今月、日本記者クラブ取材団の一員として訪れた被災地では、収束にはほど遠い原発事故の現実が垣間見えた。(柏崎総局・田中渓太)

 「請戸の魚は本当...

残り1758文字(全文:1959文字)