新潟日報メディアシップ開業10周年を記念して開かれる「木下大サーカス」新潟公演の3月25日の開幕まで1カ月を切った。2013年以来、10年ぶりとなる公演を前に、注目の演目や見どころを紹介する。(5回続きの4)

息の合った技で魅せる空中ブランコ。タイミングが少しでもずれると、失敗につながる
地上13メートル。空中ブランコから、目隠しをしたフライヤー(飛び手)が飛び立った。固唾(かたず)をのんで見守る観客。同じく視界を遮られたキャッチャー(受け手)が飛び手の手をがしっとつかむと、大きな歓声と拍手がテントに響き渡った。
「木下サーカスのトリにふさわしい、魅せる演技にこだわっている。全てはタイミング勝負」と語るのは芸歴31年の受け手、中園栄一郎さん(50)。目隠し飛行のほか、紙を貼った輪を突き破る「紙破り飛行」や、対岸のブランコに逆さまで乗り移る「かかとがけ」など、スリル満点の大技が続く。
メンバーは女性の飛び手3人やピエロを含む11人。女性が3人になるのは、中園さんの長年のキャリアの中でも初めてだという。伝統芸のくだけばしごにも出演している今村有里さんは、男性の飛び手と交代で紙破り飛行も披露する。

ダイナミックな演技で観客を魅了する
「彼女がやるようになって、『紙破り飛行は男性がやるものだ』という固定観念を崩した」と中園さん。「可能性を秘めたメンバーがそろっている。今後も新しい技にどんどんチャレンジしていきたい」と話す。
飛び手と受け手の起点の距離は8・55メートルあり、滞空時間が長く、ダイナミックな演技を可能にしている。中園さんの入団時には起点の距離は8メートルだったため、演技の迫力も格段に上がっているという。ブランコは2組並んでおり、交互に飛ぶテンポの良さも木下サーカスの売りだ。

目隠し飛行成功の秘訣は「いつもと寸分違わぬ動きをすること」という
演技助監督も務める中園さん。今のメンバーのほとんどが教え子だ。一人一人の性格や飛び方の癖を熟知し、手をつかんだ瞬間、コンディションが分かるという。「今のメンバーは全員が空中ブランコを目指してサーカスに入ってきた。緊張感もありながら、チームワークで楽しんでやっている」と力を込める。
2020年の新潟公演が中止になった時は悔しく、ずっと来たかったと語る。「パワーアップしたところを見てもらいたい」と意気込みを語った。
<会場>新潟県スポーツ公園第4駐車場特設会場(新潟市中央区長潟)※ハードオフ・エコスタジアムの南側
<前売り券>自由席は大人3千円、3歳〜高校生2千円(いずれも当日500円増し)。大学・専門学校生2400円(同400円増し)。NIC新潟日報販売店などで販売中。指定席の追加料金は1500〜3500円で、セブン-イレブンやローソンなど、各種プレイガイドで販売中。
<問い合わせ>新潟日報社読者局ふれあい事業部025(385)7470。
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