月に最長220時間を超える違法な時間外労働を従業員にさせていたとして、上越労働基準監督署から是正勧告を受けたロッテホテルアライ(新潟県妙高市)では、近年過重労働から従業員の退職が相次ぎ人手不足が常態化していたと、関係者は証言する。訪日外国人観光客(インバウンド)など、旅行需要の回復も長時間労働に拍車をかけたという。
「1カ月間、まともに休めないこともあった。ここにいたら殺されると思った」。過重労働で持病を悪化させ、昨年退職した元従業員はため息をつく。
ロッテアライリゾートが開業した2017年から勤務してきたが、次々と仕事を与えられ休む余裕はなかった。その上、残業時間を抑えるよう会社側から圧力があったとし、「月100時間残業しても実際は半分しか申請できなかった」と打ち明ける。
複数の関係者は、19年に現在の中谷高士社長が就任して以降、過重労働を理由に退職者が増えたと指摘する。
欠員が補充されず、1人当たりの業務量が増加。事務担当の従業員が現場に出るケースが発生した。ある従業員は「普段やっていないベッドメーキングやレストランの配膳までやっている。きちんと教育を受けていないので、見よう見まね」と語る。
この従業員は、是正勧告を受けて以降も状況は改善していないと感じている。「取り返しのつかない事態になる前に、経営陣は人を増やすか仕事を減らすか、抜本的な対策を取ってほしい」と訴える。
一方、中谷社長は新潟日報社の取材に対し、「繁忙期と閑散期で利用者数の差が大きく、経営の安定と人員確保の両立は難しい面がある」と説明する。
また、感染禍でお客が減少したため、清掃の外注をやめるなどコスト削減を進めてきたとし、「その分を社内で応援し合うのはおかしなことではない」と強調。その上で「必要な残業は上司に申告の上でやるべきだし、過少申告があるとは把握していない」と述べた。